花粉症による目のかゆみは目薬で治せる? 対処法と防止策

花粉症がもたらす症状のうち、目のかゆみや異物感(ゴロゴロする感じ)、涙などは、風の強い日はとくにつらいもの。夜になってもかゆみが治らず眠れないとお悩みの人も多いようです。そんなときの対処法の中心は目薬となります。

花粉症は誰でもなる可能性がある

花粉症の患者数については、はっきりしたデータはありませんが、日本では3人に1人が、何らかのアレルギー疾患をもっているといわれ、4人に1人が花粉症という調査結果もあります。
アレルギー疾患も花粉症も、発症する人が増え続けており、誰もが花粉症になる可能性があります。発症年齢もさまざまで、10代で発症する人もいれば、40代、50代になって、はじめて花粉症になる人もいます。近年は、花粉症の低年齢化が注目されています。
原因となる花粉も、スギやヒノキをはじめ、日本では61種類も報告されているので、花粉症に対する備えはすべての人に必要です。

花粉症における目のトラブル
(かゆい・痛い・目やにが出るなど)

花粉に対するアレルギーが原因で、目のかゆみや充血などが起こる病気を「アレルギー性結膜炎」といいます。
目のかゆみ、充血、涙、異物感(ゴロゴロする感じ)、まぶたの腫れなどが主な症状ですが、かゆいからといってこすりすぎると、炎症が悪化して痛みを感じたり、目やにが出たりもします。
花粉症が原因の目やには、粘り気のあまりない水のような目やにです。黄緑色の膿のような目やにや、白く粘り気のある目やには、感染症が疑われるので、眼科を受診しましょう。

目のかゆみや充血は、冷やすことでやわらげることができます。冷やすことで炎症が少し治まると、楽になるので、つらいときは冷たいタオルや、ハンカチなどでくるんだ保冷剤などで冷やしてみましょう。外出後には、目や顔を洗ったあとに行うと効果的です。

目薬を使って治す

花粉症による目の症状は、目薬で治すことができます。治すといっても、根本的に治すのではなく、つらい症状を軽減するという意味です。
花粉症に使われる目薬には、かゆみなどの症状を軽くする抗アレルギー点眼薬と、重症の炎症を治療するステロイド点眼薬や免疫抑制点眼薬があります。ステロイド点眼薬は、長期間使用するとステロイド緑内障を発症するリスクがあるので、定期的に眼圧をチェックするため通院する必要があります。

目薬は症状によって使い分けますが、初期のうちに抗アレルギー点眼薬を使い、炎症を悪化させないようにするのが治療の基本です。

抗アレルギー点眼薬には抗ヒスタミン点眼薬とケミカルメディエーター遊離抑制薬という2種類があります。

抗ヒスタミン点眼薬は、すでに起こっているアレルギー反応に効果を発揮し、かゆみや充血などの症状を改善します。アレルギー反応で細胞から出てくるヒスタミンという物質の働きを抑えることで、かゆみなどが治まります。

ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、かゆみなどを引き起こすヒスタミンなどの物質が、細胞から出てこないようにする作用があります。アレルギー反応が起こる前に使い始めるのが効果的ですが、花粉症の場合は、症状が出始めてから使っても、効果が期待できます。

花粉が飛び始めて何となく目がかゆいなと思ったら、すぐに抗アレルギー点眼薬を使い始めましょう。そうすると、炎症を抑えられるので、かゆみなどの症状が落ち着きます。
抗アレルギー点眼薬を花粉の飛散が終息するまで使い続けることで、花粉症の季節を快適に過ごすことができます。

処方薬と市販薬どっちでも大丈夫?

抗アレルギー点眼薬は、市販薬としても販売されているので、薬局やドラッグストアで入手できます。非ステロイド系の抗炎症薬が配合されているものもあり、自分の症状に適したものはどのような目薬なのか、薬局・ドラッグストアの薬剤師や登録販売者に相談してみましょう。
抗アレルギー点眼薬ではありませんが、人工涙液という涙の代わりになる目薬をこまめにさして、目についた花粉を洗い流すのも案外効果的です。その場合は、防腐剤不使用の人工涙液点眼薬を使うと、1日何回でも洗い流すことができます。

市販の抗アレルギー点眼薬は、病院で処方されるものにくらべ、効き目はゆるやかです。なぜなら、処方薬として長年使われ、安全性が確かめられた薬が、市販薬として販売されるようになるからです。

一方、病院で処方される抗アレルギー点眼薬は、新しく開発されたものもたくさんあり、素早く効くものもあります。
市販の目薬を2〜3日試してみて、症状が治まらないようなら、病院を受診するとよいでしょう。
目の炎症が強く、充血したりまぶたが腫れたり、痛みなどがあるときは、ステロイド点眼薬などで炎症を抑える必要があるので、眼科を受診しましょう。ステロイド点眼薬は市販されていません。

コンタクトレンズ装用時は専用の目薬を使うこと

目薬に含まれている防腐剤によって、ソフトコンタクトレンズが変形してしまうことがあります。ベンザルコニウム塩化物という防腐剤ですが、ソフトコンタクトレンズを使用している人は、これが含まれていないコンタクトレンズ専用の目薬を使いましょう。
花粉症の症状が出ているときもコンタクトレンズを使用したいという人は、医師や薬剤師に必ずそのことを告げましょう。

目薬以外の治療法(飲み薬や漢方、点鼻薬)

花粉症は目の症状のみという人で、さらに目薬だけで症状が治まる場合はよいのですが、目薬だけでは症状が治らない、ほかに鼻などの症状もあるという人は、飲み薬や点鼻薬も併用しましょう。点鼻薬を一緒に使うと、目の症状も軽減しやすくなります。

花粉症の飲み薬には、抗アレルギー薬や漢方があります。抗アレルギー薬でも新しいタイプの非鎮静性抗ヒスタミン薬は、眠気が出にくいので、仕事や勉強の妨げになりにくいでしょう。漢方薬では、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が保険適用になっています。

花粉によるトラブル防止策

花粉が飛散している時期にコンタクトレンズを装着して外出すると、目とコンタクトレンズの間に花粉が入り込み、摩擦で炎症が悪化して、目のかゆみもひどくなってしまうおそれがあります。防止策としては、花粉症の時期は、コンタクトレンズをやめてメガネを使用するか、コンタクトレンズを装着した状態で伊達メガネをかけるかとなります。
メガネをかけるだけで、メガネなしの状態に比べて、目に入る花粉の数を60〜70%もカットできます。花粉の侵入を防ぐ「フード」(防護カバー)が付いた花粉症用メガネならさらに効果的です。

帰宅後は、顔を洗ったりして、目の周辺に付着した花粉症を洗い流すと、炎症の悪化防止になります。花粉はまつ毛や眉毛にも付いているので、顔全体を洗うのがベターです。

花粉が多く飛んでいるときは外出しない

スギ花粉症およびヒノキ花粉症の人は、「環境省花粉観測システム(はなこさん)」にそれぞれの花粉の飛散情報がリアルタイムで公開されているので、ぜひチェックしましょう。

花粉の飛散量が多い日は、できれば外出を避けるのが正解です。
気温が高めの晴れた日、風の強い日、雨の翌日でよく晴れた日などは、大量に花粉が飛びます。また、1日のうちでも、スギなどの花粉は昼ごろと夕方に多く飛散するので、これらの日や時間帯を避けるとよいでしょう。

外出するときは、メガネやマスク等で花粉との接触を避ける

外出するときは、メガネ、マスク、つばの広い帽子などで、花粉から身を守りましょう。
外出時の効果的な対策をご紹介します。

マスクの着用

花粉が入り込む隙間を作らないためには、顔の大きさに合うマスクを選び、正しく装着する。

メガネの着用

普通のメガネ(伊達メガネやサングラス)でも十分な効果あり。しかし、花粉の侵入を防ぐ「フード」がついた花粉症用メガネなら、なお効果的。

つばの広い帽子の着用

顔や髪の毛に花粉がつくのを防ぐ。

衣類への付着を防ぐ

花粉が付着しにくい、ツルツルした素材のコートや上着を着る。衣服を洗濯するときは、静電気の発生を抑える効果のある柔軟剤を使う。

教えてくれた先生

松脇 由典 先生
松脇 由典 先生
医療法人社団 恵芳会
松脇クリニック品川 院長
耳鼻咽喉科・アレルギー科医師
松脇クリニック品川
【略歴】
1994年3月
東京慈恵会医科大学 医学部 医学科卒業
1994年5月
東京慈恵会医科大学付属病院にて研修開始
2006年8月
東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科講座 講師
医療法人社団恵芳会 松脇クリニック品川 
理事長
現在に至る
【学会】

日本耳鼻咽喉科学会・専門医/日本アレルギー学会・専門医/日本鼻科学会
耳鼻咽喉科臨床学会/耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会/
品川気道アレルギー研究会・代表
アレルギー・好酸球研究会

【賞罰】
平成24年
日本鼻科学会 第19回学会賞
平成18年
米国アレルギー喘息免疫学会 
Featured presentation
平成17年
東京慈恵会医科大学 金杉賞