ハンノキ花粉症に注意! 食物アレルギーとの関連も? 詳しく解説

花粉症の原因になる樹木としてスギについては多くの人が認識していますが、ハンノキについては、あまり知られていないようです。しかし、ハンノキは日本全国に分布していて、公園などでもよくみられる樹木です。1月から6月頃まで花粉が飛散します。食物アレルギーとの関係性への指摘もあり、注意が必要です。

注意したい春の花粉症「ハンノキ」

ハンノキ

春の花粉症というと、誰もがスギとヒノキを思い浮かべますが、実はそれだけではありません。ハンノキの花粉に反応する人も、意外に多くいます。
スギ花粉症と併発することもあり、スギ花粉症の人の約20%がハンノキ花粉にも反応するといわれています。

ハンノキ花粉症の症状は、スギ花粉症などと同様にくしゃみ・鼻みず・鼻づまりがあり、ほかにも咳やのどの違和感、のどのかゆみなどが特徴としてあります。咳が主症状のこともあります。

ハンノキの花粉とスギの花粉は飛散する時期がほぼ重なるため、ハンノキ花粉症に気づかないこともあるようです。ハンノキの花粉は、スギよりも少し早く飛び始めるので、1月から症状が出たり、主な症状として咳やのどの違和感などがある場合は、ハンノキ花粉症を疑ってみましょう。

北海道に多く生育するシラカンバ(白樺)も、ハンノキと同じカバノキ科の樹木で、花粉症の原因になります。

ハンノキの基本情報

ハンノキは、カバノキ科に属する落葉樹です。成長すると、10〜20mもの高さになります。
雄花と雌花があり、花粉を飛ばす雄花は黒っぽい褐色で、円柱形の尾状に垂れ下がります。花の後には皮がかたい松かさ状の実ができます。
ヨーロッパの先住民族ケルトの神話では、4月の守護樹とされており、勇気・慈愛・寛容をあらわすそうです。日本でもアイヌ民話の中に登場しています。

ハンノキ花粉の飛散時期と生育地域

ハンノキの花粉のエリアごとの飛散時期
エリア 飛散開始時期 飛散終息時期 飛散ピーク時期
北海道 3月中旬 5月中旬 飛散量は少ない
東北 1月中旬 6月中旬 飛散量は少ない
関東 1月中旬 5月いっぱい 3月中旬~4月中旬
東海 1月中旬 4月中旬 飛散量は少ない
関西 1月上旬 6月中旬 3月中旬
九州 1月中旬 5月いっぱい 飛散量は少ない

出典:「鼻アレルギー診療ガイドライン2016」より

ハンノキは日本全国に生育しており、とくに北海道と北陸地方に多いようです。
山地などに多くみられますが、公園に植えられていることもある身近な樹木です。

ハンノキ花粉の特徴

ハンノキ花粉の大きさは約25μmでスギ花粉よりも小さく、色は淡黄色です。雄花の花粉を風に運ばせて雌花に受粉させる風媒花の仲間なので、花粉は風に乗って遠くまで飛散します。

ハンノキ花粉感作と口腔アレルギー症候群(OAS)について

リンゴやモモなどを食べると、数分後(15分以内)に口の中のかゆみ、のどのイガイガ感などの症状がみられることがあります。これを、「口腔アレルギー症候群(OAS)」といいます。
重症の場合は、じんましんや喘息、ときにはアナフィラキシーショックのような重い症状があらわれることがあります。

花粉症の患者さんの増加に伴って、OASの人も増えています。ハンノキ花粉症の人の約半数にOASがみられるといわれており、ハンノキ花粉の飛散時期に起こりやすいとされています。
何か特定の果物や野菜を食べて異変を感じたら、アレルギー疾患を診療している医療機関に相談しましょう。検査で特定の果物や野菜に対するアレルギー(特異的IgE)も認められれば、医師の指示のもと控えたほうがよい場合があります。アナフィラキシーショックのような重い症状があらわれることもあるため、万一に備えエピペンといった応急処置の注射薬をいつも持参する必要がある場合もあります。

口腔アレルギー症候群(OAS)とは

ハンノキ花粉症の人でOASが起こるのは、ハンノキ花粉に含まれているアレルギーを起こすたんぱく質と、リンゴやモモに含まれるたんぱく質が、とてもよく似ているからです。
OASの発症を予防するには、原因となる食物を食べないことに限りますが、このたんぱく質は熱に弱いので、加熱して食べれば症状は出にくくなります。例えば、生のリンゴではなくアップルパイにするなどすれば、食べられる可能性があります。しかし熱処理した場合もアレルギー反応が出ることがあるので、アレルギー専門医に必ず相談のうえ少量から食べることをお勧めします。また、酸にも弱いので、胃酸によってアレルギーを起こす力が失われます。

口腔アレルギー症候群(OAS)の症状について

特定の食品を食べてから15分以内に、次のような症状が出ます。

唇や口の中、のどの症状

かゆみ
イガイガ感、ピリピリ感
腫れ

全身の症状

じんましんなどの皮膚の症状
気管支喘息のような症状
まれにアナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、意識消失 など)

注意したい食物

ハンノキ花粉症の人がOASを起こしやすい食物は、リンゴやモモ、ナシ、サクランボなどのバラ科の果実のほか、ウリ科のメロンやスイカがあります。ほかにもキウイやアボカド、トマト、ヘーゼルナッツに反応することもあります。
とくにハンノキ花粉の飛散時期にこれらの食物を大量に食べると、OASが重症化することがあるので、気をつけましょう。

ハンノキ花粉症の対策ポイント

ハンノキ花粉症の対策も、他の花粉症と同じように、花粉を浴びないことと、体内に侵入させないことが基本です。
気温の高い日、風の強い日、雨の翌日で晴れた日など花粉が飛びやすい条件となったら、とくにしっかりガードしましょう。

外出するときの花粉症対策

外出時の対策として、次のことを参考にしてください。

マスクの着用

顔の大きさに合うマスクを選び、花粉が入り込む隙間を作らないように正しく装着しましょう。

【立体型マスクの正しい付け方】

顔にフィットさせ、ノーズピースを鼻の形に合わせる

【プリーツ型マスクの正しい付け方】

1.プリーツを上下に伸ばし、マスクを広げる
2.顔に当ててノーズピースを鼻の形に合わせ、マスクをあごの下まで伸ばす
3.顔にフィットさせながら、耳にゴムひもをかける

メガネの着用

目のかゆみなど、アレルギー性結膜炎の症状がある場合は、外出時にメガネをかけましょう。伊達メガネやサングラスでも、目に入る花粉の量を減らせますが、「フード」のついた花粉症用メガネならより効果的です。

つばの広い帽子の着用

頭部に花粉が付かないように、つばの広い帽子をかぶりましょう。髪の毛が長い人は束ねて帽子の中に入れてしまうとよいでしょう。

衣類への付着を防ぐ

花粉が付着しにくい、ツルツルした素材のコートや上着がおすすめ。衣服を洗濯するときに柔軟剤を使うと、静電気の発生を抑えられ、花粉の付着が少なくなります。

帰宅したときの花粉症対策

帰宅時の対策としては、家の中に花粉を持ち込まないということが大切です。

衣類についた花粉を払ってから家に入る

玄関前で花粉を払い落としてから、家に入るようにしましょう。

帰宅後は洗顔、うがいをする

顔や口の中、のどについた花粉を洗い流すと、帰宅後の症状が緩和します。シャワーを浴びて全身を洗い流せば、さらにすっきりします。

洗顔で目の周囲を洗う

目の症状が強い人は、洗眼液を使って眼球や結膜に付いた花粉を洗い流しがちですが、洗顔してまつ毛など目の周囲についた花粉を洗い流すほうが目の症状が軽減します。

鼻洗浄(鼻うがい)をする

鼻うがいは、鼻粘膜の炎症を抑える効果があるといわれています。花粉飛散が早めの段階から行うと、より効果的です。

鼻洗浄の方法
  1. ①生理食塩水(0.9%の食塩水)を人肌(36〜38℃くらい)に温め、洗浄器に入れます。
  2. ②洗浄器のノズルを鼻にあて、前かがみになって「エー」と声を出しながら洗浄します。洗浄後の液は、鼻や口から出てくるので、洗面台で行いましょう。

洗浄するときに強い圧をかけると、耳が痛くなることがありますので、ご注意ください。

室内における花粉症対策

室内に侵入してしまった花粉に対しては次のような対策を行いましょう。

こまめな掃除

ハンノキ花粉が飛ぶ時期はとくに掃除をこまめに行いましょう。
掃除機は、排気循環式のものを利用すると、排気で花粉が舞うのを防止できます。床の水拭きも効果的です。

空気清浄機の使用

空気清浄機は、寝室の枕元に置き、24時間稼働させると効果的です。できれば、高性能HEPAフィルター付きの空気清浄機を選びましょう。

部屋の換気は控えめに

花粉飛散量の比較的少ない夜から早朝にかけて、レースのカーテンを閉めたまま、窓を10cmほど開けるくらいにとどめましょう。

洗面所やトイレのマットは頻繁に交換

狭い場所で服を脱ぎ着する洗面所やトイレは花粉がたまりやすいので、洗面所やトイレのマットを頻繁に交換し、洗濯しましょう。

洗濯物は室内干し

ハンノキ花粉の飛散時期は、室内干しが基本。布団も、布団乾燥機を使って湿気を取りましょう。

教えてくれた先生

松脇 由典 先生
松脇 由典 先生
医療法人社団 恵芳会
松脇クリニック品川 院長
耳鼻咽喉科・アレルギー科医師
松脇クリニック品川
【略歴】
1994年3月
東京慈恵会医科大学 医学部 医学科卒業
1994年5月
東京慈恵会医科大学付属病院にて研修開始
2006年8月
東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科講座 講師
医療法人社団恵芳会 松脇クリニック品川 
理事長
現在に至る
【学会】

日本耳鼻咽喉科学会・専門医/日本アレルギー学会・専門医/日本鼻科学会
耳鼻咽喉科臨床学会/耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会/
品川気道アレルギー研究会・代表
アレルギー・好酸球研究会

【賞罰】
平成24年
日本鼻科学会 第19回学会賞
平成18年
米国アレルギー喘息免疫学会 
Featured presentation
平成17年
東京慈恵会医科大学 金杉賞