花粉症治療として注射をするものは大きく3種類あります。花粉症を根本的に治す「アレルゲン免疫療法」(減感作療法)と、つらい症状を抑えるステロイド注射でした。花粉症を治療する注射でも、「アレルゲン免疫療法」の注射と、ステロイド注射はまったく異なるものです。さらに昨年、超重症の花粉症患者さんに限って使用できる注射薬が保険適用され、治療の選択肢は増えつつあります。
花粉症治療として注射をするものは大きく3種類あります。花粉症を根本的に治す「アレルゲン免疫療法」(減感作療法)と、つらい症状を抑えるステロイド注射でした。花粉症を治療する注射でも、「アレルゲン免疫療法」の注射と、ステロイド注射はまったく異なるものです。さらに昨年、超重症の花粉症患者さんに限って使用できる注射薬が保険適用され、治療の選択肢は増えつつあります。
アレルゲン免疫療法は花粉症の原因である花粉の抗原(アレルギーを引き起こす物質)の抽出液で作った薬を、皮下注射で少しずつ体に入れ、花粉に対する反応を弱めていくという治療法です。減感作療法ともいい、体質から改善して花粉症を根本的に治せる可能性があります。
週に1、2回通院して注射をしてもらいます。治療には2〜3年かかりますが、70〜80%の人に効果があるといわれています。
アレルゲン免疫療法には、抗原を含む薬を舌下に投与する「舌下免疫療法」もありますが、現在のところ、舌下免疫療法が保険適用になるのは、スギ花粉症とダニアレルギーだけなので、そのほかの花粉症の場合は、皮下注射によるアレルゲン免疫療法を受けることになります。
この治療を受けて、ごくまれにアナフィラキシーという副作用が起こることがあります。皮下注射のあと30分以内に、じんましん、腹痛、嘔吐、息苦しさなどの症状が現れ、重い場合は、意識を失うことがあります。
そのため、アレルゲン免疫療法は、この治療法の講習を受け、副作用に適切に対応できる医師によって行われます。
基本的に安全性の高い治療法ですが、治療を受ける患者さんは、医師から副作用についても説明してもらい、十分に理解しておきましょう。
アレルゲン免疫療法は花粉症の原因である花粉の抗原(アレルギーを引き起こす物質)の抽出液で作った薬を、皮下注射で少しずつ体に入れ、花粉に対する反応を弱めていくという治療法です。減感作療法ともいい、体質から改善して花粉症を根本的に治せる可能性があります。
週に1、2回通院して注射をしてもらいます。治療には2〜3年かかりますが、70〜80%の人に効果があるといわれています。
アレルゲン免疫療法には、抗原を含む薬を舌下に投与する「舌下免疫療法」もありますが、現在のところ、舌下免疫療法が保険適用になるのは、スギ花粉症とダニアレルギーだけなので、そのほかの花粉症の場合は、皮下注射によるアレルゲン免疫療法を受けることになります。
この治療を受けて、ごくまれにアナフィラキシーという副作用が起こることがあります。皮下注射のあと30分以内に、じんましん、腹痛、嘔吐、息苦しさなどの症状が現れ、重い場合は、意識を失うことがあります。
そのため、アレルゲン免疫療法は、この治療法の講習を受け、副作用に適切に対応できる医師によって行われます。
基本的に安全性の高い治療法ですが、治療を受ける患者さんは、医師から副作用についても説明してもらい、十分に理解しておきましょう。
ステロイド注射は、花粉症のつらい症状を抑え込むために行う治療法です。
副腎皮質ステロイドには強力な抗炎症作用があります。花粉症に用いられるステロイド注射薬(ケナコルトA)は、体内に長期間とどまるタイプなので、1回注射をすると、約2〜3カ月間効果が持続します。
そのため、「1回の注射でそのシーズンの花粉症がよくなる」などといわれています。
しかし、この治療に関しては、重大な副作用のおそれがあるため、厚生労働省がホームページで注意を促しています。アレルギー性鼻炎の治療を行っている医師が多く所属する日本耳鼻咽喉科学会でも、「アレルギー性鼻炎の治療にステロイド注射を用いることは推奨しない」と声明を出しています。
ステロイド注射の副作用で代表的なものは、感染症、胃潰瘍など消化器の潰瘍、糖尿病、高血圧、緑内障、生理の異常(生理が止まる、あるいは止まらなくなる)などです。
何年もステロイド注射を受けていると、顔が丸くなるムーンフェイス(満月様顔貌)などもあらわれます。
また、高血圧、糖尿病、感染症、緑内障、白内障などがある人は、これらの病気を悪化させるおそれがあるため、ステロイド注射を受けることはできません。
花粉症の治療に用いられるステロイド注射は、薬効が比較的強く、長期間体内にとどまるタイプであるため、強い副作用が懸念されます。
このようなことを知ると、ステロイドは怖いと思ってしまう人もいるでしょうが、ステロイドを含む目薬や点鼻薬に関しては、全身への影響が少ないので、定期的な受診をして、医師の指導を守って使えば心配ありません。
ステロイド注射は、花粉症のつらい症状を抑え込むために行う治療法です。
副腎皮質ステロイドには強力な抗炎症作用があります。花粉症に用いられるステロイド注射薬(ケナコルトA)は、体内に長期間とどまるタイプなので、1回注射をすると、約2〜3カ月間効果が持続します。
そのため、「1回の注射でそのシーズンの花粉症がよくなる」などといわれています。
しかし、この治療に関しては、重大な副作用のおそれがあるため、厚生労働省がホームページで注意を促しています。アレルギー性鼻炎の治療を行っている医師が多く所属する日本耳鼻咽喉科学会でも、「アレルギー性鼻炎の治療にステロイド注射を用いることは推奨しない」と声明を出しています。
ステロイド注射の副作用で代表的なものは、感染症、胃潰瘍など消化器の潰瘍、糖尿病、高血圧、緑内障、生理の異常(生理が止まる、あるいは止まらなくなる)などです。
何年もステロイド注射を受けていると、顔が丸くなるムーンフェイス(満月様顔貌)などもあらわれます。
また、高血圧、糖尿病、感染症、緑内障、白内障などがある人は、これらの病気を悪化させるおそれがあるため、ステロイド注射を受けることはできません。
花粉症の治療に用いられるステロイド注射は、薬効が比較的強く、長期間体内にとどまるタイプであるため、強い副作用が懸念されます。
このようなことを知ると、ステロイドは怖いと思ってしまう人もいるでしょうが、ステロイドを含む目薬や点鼻薬に関しては、全身への影響が少ないので、定期的な受診をして、医師の指導を守って使えば心配ありません。
ノイロトロピンは生物から産生されるタンパク質などの物質を応用して作られたバイオ医薬品です。自律神経の安定作用があるといわれており、体に大きな負担をかけることはなく、副作用も依存性も少ないといわれています。どのような仕組みでその薬が効果を発揮するのかは不明で、即効性は期待できません。
ノイロトロピンは生物から産生されるタンパク質などの物質を応用して作られたバイオ医薬品です。自律神経の安定作用があるといわれており、体に大きな負担をかけることはなく、副作用も依存性も少ないといわれています。どのような仕組みでその薬が効果を発揮するのかは不明で、即効性は期待できません。
ヒスタグロビンもバイオ医薬品の1つで、ヒトの血液を原材料としています。先ほど説明したアレルゲン免疫療法は、スギ花粉症の人にはスギ花粉の抽出液から作った薬を使うため、ブタクサやダニなど別のアレルギーへの治療薬にはなりません。一方、ヒスタグロビンを使う非特異的減感作療法は、アレルギー性鼻炎全般の治療薬となっています。週に1、2回注射を打つために通院しますが、治療効果が認められるまでに時間がかかります。ほかのお薬やアレルゲン免疫療法と併用して使用されることが多く、単独での使用はあまりありません。こちらもどのような仕組みで薬が効果を発揮するのか、必ずしも明らかではありません。
ヒスタグロビンもバイオ医薬品の1つで、ヒトの血液を原材料としています。先ほど説明したアレルゲン免疫療法は、スギ花粉症の人にはスギ花粉の抽出液から作った薬を使うため、ブタクサやダニなど別のアレルギーへの治療薬にはなりません。一方、ヒスタグロビンを使う非特異的減感作療法は、アレルギー性鼻炎全般の治療薬となっています。週に1、2回注射を打つために通院しますが、治療効果が認められるまでに時間がかかります。ほかのお薬やアレルゲン免疫療法と併用して使用されることが多く、単独での使用はあまりありません。こちらもどのような仕組みで薬が効果を発揮するのか、必ずしも明らかではありません。
ゾレア皮下注(オマリズマブ)はヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。この薬はヒトIgE抗体がIgE受容体と結合する「Cε3」という部分に特異的に結合する性質を持っています。Cε3に結合することで、ヒトIgE抗体はマスト細胞や好塩基球の細胞膜表面に存在するIgE受容体のサブユニット(FcεR1)に結合できなくなり、アレルギー反応が阻止されます。
もともとは「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」、「特発性の慢性じんましん(既存治療で効果不十分な患者に限る)」などに保険適応され使用されてきました。
2019年12月に、抗ヒスタミン薬などの既存治療では症状を十分にコントロールできない重症の花粉症の方も保険診療でこの薬が使えるようになりました。これまで薬を飲んでも症状が改善されなかった重症の患者さんには朗報です。適応に関しては耳鼻咽喉科専門医・アレルギー科専門医にご相談ください。
ゾレア皮下注(オマリズマブ)はヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。この薬はヒトIgE抗体がIgE受容体と結合する「Cε3」という部分に特異的に結合する性質を持っています。Cε3に結合することで、ヒトIgE抗体はマスト細胞や好塩基球の細胞膜表面に存在するIgE受容体のサブユニット(FcεR1)に結合できなくなり、アレルギー反応が阻止されます。
もともとは「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」、「特発性の慢性じんましん(既存治療で効果不十分な患者に限る)」などに保険適応され使用されてきました。
2019年12月に、抗ヒスタミン薬などの既存治療では症状を十分にコントロールできない重症の花粉症の方も保険診療でこの薬が使えるようになりました。これまで薬を飲んでも症状が改善されなかった重症の患者さんには朗報です。適応に関しては耳鼻咽喉科専門医・アレルギー科専門医にご相談ください。
花粉症の治療法のうち注射で投与するものは多くありません。花粉症そのものを治したいのか、いまあるつらい症状を軽減したいのかによって、選択すべき治療は異なります。
アレルゲン免疫療法は、アレルギー疾患を根本的に治療することが可能ですが、長期間、定期的な通院が必要です。
ステロイド注射は、症状を改善する効果が非常に高いのですが、重大な副作用が心配され、アレルギー性鼻炎の治療法としては推奨されていません。
それぞれの治療法のメリットとデメリットを医師から聞いたうえで、内服薬も選択肢に入れ、あなたに合った治療法を見つけてください。
花粉症の治療法のうち注射で投与するものは多くありません。花粉症そのものを治したいのか、いまあるつらい症状を軽減したいのかによって、選択すべき治療は異なります。
アレルゲン免疫療法は、アレルギー疾患を根本的に治療することが可能ですが、長期間、定期的な通院が必要です。
ステロイド注射は、症状を改善する効果が非常に高いのですが、重大な副作用が心配され、アレルギー性鼻炎の治療法としては推奨されていません。
それぞれの治療法のメリットとデメリットを医師から聞いたうえで、内服薬も選択肢に入れ、あなたに合った治療法を見つけてください。
【略歴】
1994年3月東京慈恵会医科大学 医学部 医学科卒業
1994年5月東京慈恵会医科大学付属病院にて研修開始
2006年8月東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科講座 講師
医療法人社団恵芳会 松脇クリニック品川 理事長
現在に至る
【学会】
日本耳鼻咽喉科学会・専門医/日本アレルギー学会・専門医/日本鼻科学会
耳鼻咽喉科臨床学会/耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会/
品川気道アレルギー研究会・代表
アレルギー・好酸球研究会
【賞罰】
平成24年日本鼻科学会 第19回学会賞
平成18年米国アレルギー喘息免疫学会 Featured
presentation
平成17年東京慈恵会医科大学 金杉賞
【略歴】
1994年3月東京慈恵会医科大学 医学部 医学科卒業
1994年5月東京慈恵会医科大学付属病院にて研修開始
2006年8月東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科講座 講師
医療法人社団恵芳会 松脇クリニック品川 理事長
現在に至る
【学会】
日本耳鼻咽喉科学会・専門医/日本アレルギー学会・専門医/日本鼻科学会
耳鼻咽喉科臨床学会/耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会/
品川気道アレルギー研究会・代表
アレルギー・好酸球研究会
【賞罰】
平成24年日本鼻科学会 第19回学会賞
平成18年米国アレルギー喘息免疫学会 Featured
presentation
平成17年東京慈恵会医科大学 金杉賞