スギ花粉症の予防と治療

花粉症の症状が出てからよりも、症状が出る少し前から予防対策をすることで、より楽に花粉症シーズンを乗り切れます。
セルフケアと適切な対策で花粉症シーズンを乗り切りましょう。

花粉症の最大の予防はスギ花粉を浴びないこと

アレルギー対策の基本は、アレルギーを引き起こすモノに触れないことです。アレルギー疾患であるスギ花粉症も、もちろん同じ。できるだけスギ花粉を浴びないように、体にスギ花粉が触れないようにすることこそが何よりも重要な予防策です。
スギ花粉症の最大の予防はスギ花粉を浴びないことは、ほかの花粉症と基本的に同じですが、早めに実行することで予防効果はアップします。

予防策1 情報収集

スギ花粉がいつごろから飛散するのか、シーズン中にはその日の飛散量などをチェックし、情報を生かした対策をしましょう。毎日の天気予報をしっかりとチェックするだけではなく、花粉症情報を配信しているアプリに登録したりして、花粉情報をタイムリーにキャッチしましょう。

予防策2 マスクやメガネでしっかりガード

スギ花粉のシーズンのお出かけでは、鼻や目にスギ花粉が付着しないようにマスクやメガネ、つばの広い帽子などでガードしましょう。

予防策3 花粉シーズンの洋服はツルツル素材がベスト

スギ花粉のシーズンのお出かけは、スギ花粉という敵のなかへ身を投じるようなもの、心して踏み出しましょう。ウールのセーターやフリース素材は避け、花粉が付着しにくいツルツルした素材のトレンチコートやレザージャケットなどを着るようにしましょう。最近は、花粉が付着しにくい素材の服も売られています。

予防策4 帰宅時は玄関先で花粉にバイバイ

家の中にスギ花粉を持ち込まないことが鉄則です。帰宅したら玄関先で衣服や髪に付いた花粉をはらいましょう。

予防策5 帰宅したら花粉はしっかり洗い流す

帰宅したらうがい、手洗い、目の洗浄、洗顔をしましょう。外出していた服も着替えるとよいでしょう。できれば帰宅したらすぐにシャワーを浴び、髪の毛についたスギ花粉も洗い流すとベストですね。

予防策6 こまめな掃除で花粉を除去

部屋の掃除をこまめに行い、空気清浄機を24時間使用するようにしましょう。
できれば高性能HEPAフィルター付きの空気清浄機を、寝室の枕元に設置すると、鼻づまりなどが和らぎ良質な睡眠がとれるかもしれません。

予防策7 健康的な生活スタイルを

花粉症の悪化を防ぐには、バランスのとれた食事、十分な睡眠、規則正しい生活、上手なストレス解消など体調を整えることが大切です。

予防策8 治療は花粉飛散のピークよりもちょっとサキドリ

花粉症の治療で内服薬を飲む場合、症状が出る前の2月初旬頃から始めましょう。このような服用方法を初期治療といい、症状が出てから薬を飲み始めるよりも、花粉飛散ピーク時に高い効果が期待できます。

つらい症状を抑える効果的な治療法

花粉症の症状が軽い人でしたら、予防策1から7までの自分でできる対策で花粉症シーズンを乗り切れるかもしれませんが、それだけではつらい! という場合は薬物治療をしていきましょう。
現在、スギ花粉症に有効な治療法は、出ている症状を抑える対症療法と、根本的に治す根治療法があります。

スギ花粉症の対症療法

内服薬による治療

スギ花粉症の症状を抑える内服薬にはいくつか種類があります。
よく使われているのは、「抗ヒスタミン薬」と「抗ロイコトリエン薬」です。
抗ヒスタミン薬は、くしゃみ、鼻みずに効果があります。眠くなる副作用があるため敬遠されがちですが、最近は眠くなりにくいタイプの第2世代抗ヒスタミン薬が主流になっています。
ドラッグストアなどで治療薬を購入する場合は、薬剤師または登録販売者に相談して症状に適した薬を選んでもらいましょう。眠くなりにくい非鎮静性抗ヒスタミン薬がおすすめです。軽症の方は抗ヒスタミン薬のみでもコントロール可能です。抗ロイコトリエン薬は鼻づまりに有効で、眠くなる副作用はありません。抗ロイコトリエン薬を試したい場合は、病院で医師に相談してみましょう。

スギ花粉症に効果があるとされる漢方薬の「小青龍湯」は、健康保険が適用されています。漢方薬から試したいという場合は、医師に相談してみましょう。

スギ花粉症の内服薬治療は、花粉が飛び始める前の2月初旬から薬を飲み始める「初期治療」が効果的です。非鎮静性抗ヒスタミン薬を症状が出る前、あるいは飛散予測日から服用してはいかがでしょうか?ドラッグストアなどで治療薬を購入する場合は、薬剤師または登録販売者に相談して眠くなりにくい薬を選んでもらいましょう。

点鼻薬による治療

くしゃみ、鼻みず、鼻づまりといったアレルギー性鼻炎の症状が強い場合は、内服薬に加え点鼻薬も使います。抗アレルギー薬と、鼻粘膜の炎症を抑えるステロイド薬があり、鼻粘膜の炎症が強いときにはステロイドが配合された点鼻薬を使用します。

点眼薬(目薬)による治療

目のかゆみや充血などアレルギー性結膜炎の症状が強い場合は、内服薬に加えて点眼薬も使います。点眼薬にも、抗アレルギー薬とステロイド薬があり、患者さんの症状に合わせて医師が処方します。点眼薬をドラッグストアなどで購入する場合、薬剤師または登録販売者に相談してみましょう。ただし、ストロイド点眼薬はドラッグストアで購入することはできません。

スギ花粉症の根治療法

舌下免疫療法(免疫療法)

スギ花粉の抽出液で作った薬を、1日1回舌の下に入れ、スギ花粉に対するアレルギーを軽減していく治療法です。
最初の日は病院で指導を受け、翌日からは自分で薬を舌下に入れます。
スギ花粉が飛んでいない時期(6〜11月くらい)に治療を開始し、3年以上続ける必要があるので大変といえば大変ですが、約8割の人に効果があり、多くの場合は服用を始めた翌年の花粉症シーズンから症状が軽減したと感じるそうです。
薬には水溶液と錠剤がありますが、2021年4月からは錠剤のみになります。
治療は、舌下免疫療法の講習を受けた医師によって行われます。

スギ花粉症の免疫療法には、皮下注射で行う方法もあります。しかし、皮下注射は週1〜2回通院して注射をする必要があり、患者さんの負担は重くなります。また、週1〜2回の投与よりも、舌下免疫療法で毎日投与した方が効果的です。舌下免疫療法は、皮下注射に比べて副作用が出にくいこともメリットです。
現在、舌下免疫療法が健康保険で受けられるのは、スギ花粉とダニアレルギーだけです。ヒノキ、イネ科、秋の花粉症の原因となる植物に対する免疫療法は皮下注射で行うことになります。

手術治療

さまざまな治療を行っても、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりがひどいという場合は、鼻の手術も選択肢の1つになります。
鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)や高度な肥厚性鼻炎(ひこうせいびえん)を伴い、鼻づまりが強い場合は、手術療法を検討されてもよいと思います。くしゃみや鼻みずの分泌する神経(後鼻神経)を選択的に切除する手術を行うと、くしゃみ・鼻みずも軽減します。専門の耳鼻咽喉科医師にご相談ください。
ここで紹介する手術は日帰り、1泊入院で行えます。

下鼻甲介粘膜切除術/粘膜下下鼻甲介骨切除術

アレルギー性鼻炎などが原因で、鼻の中の粘膜(下鼻甲介)が慢性的に腫れて、鼻づまりの症状が現れることがあります。それを肥厚性鼻炎といいますが、その場合粘膜の腫れを切除することで症状を軽減することができます。また、下鼻甲介(かびこうかい)の中にある骨の一部を切除することもあります。こうすることで、空気の通り道が広がり、楽に鼻呼吸ができるようになります。
長年のアレルギー性鼻炎で鼻粘膜が厚くなっている場合に健康保険が適用になります。

内視鏡下鼻中隔矯正術

鼻中隔弯曲症(鼻の穴を左右に隔てている鼻中隔という壁が、強く曲がっている状態)がある場合は、内視鏡を使って鼻中隔の弯曲や突起を矯正します。鼻中隔のゆがみを正しい位置に矯正することで、狭い側の鼻腔が広げられ症状の改善が得られます。この手術も健康保険が適用になります。場合によっては、下鼻甲介粘膜切除術/粘膜下下鼻甲介骨切除術を同時に行うことで、鼻腔形態全体の正常化を図ります。

鼻中隔弯曲症、アレルギー性鼻炎手術症例

※破線:正中ライン, 矢印:鼻中隔弯曲凸部(画像提供:松脇由典先生)

後鼻神経切除術

アレルギー反応に関わっている後鼻神経を切断し、アレルギー反応を減らす手術です。医師が重症のスギ花粉症と判断した場合は、健康保険が適用になります。

教えてくれた先生

松脇 由典 先生
松脇 由典 先生
医療法人社団 恵芳会
松脇クリニック品川 院長
耳鼻咽喉科・アレルギー科医師
松脇クリニック品川
【略歴】
1994年3月
東京慈恵会医科大学 医学部 医学科卒業
1994年5月
東京慈恵会医科大学付属病院にて研修開始
2006年8月
東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科講座 講師
医療法人社団恵芳会 松脇クリニック品川 
理事長
現在に至る
【学会】

日本耳鼻咽喉科学会・専門医/日本アレルギー学会・専門医/日本鼻科学会
耳鼻咽喉科臨床学会/耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会/
品川気道アレルギー研究会・代表
アレルギー・好酸球研究会

【賞罰】
平成24年
日本鼻科学会 第19回学会賞
平成18年
米国アレルギー喘息免疫学会 
Featured presentation
平成17年
東京慈恵会医科大学 金杉賞