筋肉痛の原因とは?
筋肉痛には「遅発性」「早発性」の2種類ある

筋肉痛の原因とは?
筋肉痛には「遅発性」「早発性」の2種類ある

筋肉痛の原因とは? 筋肉痛には「遅発性」「早発性」の2種類ある 筋肉痛の原因とは? 筋肉痛には「遅発性」「早発性」の2種類ある

筋肉痛は、運動によって生じる筋肉の痛みのことですが、誰でも一度は体験したことがあるのではないでしょうか。激しい運動をしていなくても、日常生活のちょっとした動きでも筋肉痛になる場合も。
筋肉痛の原因や、筋肉痛を起こしやすい動きについてご紹介します。

筋肉痛は、運動によって生じる筋肉の痛みのことですが、誰でも一度は体験したことがあるのではないでしょうか。激しい運動をしていなくても、日常生活のちょっとした動きでも筋肉痛になる場合も。
筋肉痛の原因や、筋肉痛を起こしやすい動きについてご紹介します。

<監修>

<監修>

橋本三四郎先生 橋本三四郎先生

橋本三四郎先生
南新宿整形外科リハビリテーションクリニック院長
日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション認定医/日本リウマチ財団登録医

橋本三四郎先生
南新宿整形外科リハビリテーションクリニック院長
日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会運動器リハビリテーション認定医/日本リウマチ財団登録医

久留米大学大学院卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校、米国スクリプス研究所主任研究員。2001年ハシモトクリニック開院。日本医科大学病院整形外科・リウマチ外科非常勤講師を経て、2012年南新宿整形外科リハビリテーションクリニックを開院。著書に「あきらめないでひざの痛み」「こうすれば膝痛は治せる!」

久留米大学大学院卒業。カリフォルニア大学サンディエゴ校、米国スクリプス研究所主任研究員。2001年ハシモトクリニック開院。日本医科大学病院整形外科・リウマチ外科非常勤講師を経て、2012年南新宿整形外科リハビリテーションクリニックを開院。著書に「あきらめないでひざの痛み」「こうすれば膝痛は治せる!」

目次

目次

筋肉痛の原因は?痛みのタイミングによっても原因は異なる

筋肉痛の原因は?痛みのタイミングによっても原因は異なる

筋肉痛とは、過剰な運動や不慣れな運動が原因となり、首や肩、腕や腰、脚などに生じる筋肉の痛みのこと。正式名称は「筋・筋膜性疼痛症候群」と言います。なにやら難しい名前ですが、誰でも経験のある痛みで、激しい運動をしなくても日常生活を送る中で筋肉痛になることもあります。
普段身体を動かさない人ほど筋肉痛になりやすいと言われますが、これは「遅発性筋肉痛」といって、運動後数時間から数日後に生じる筋肉の痛みのこと。世の中では多くの場合、この遅発性筋肉痛を総じて「筋肉痛」と呼んでいます。
また、筋肉痛には「早発性筋肉痛」というのもあり、運動中に痛みが発生する筋肉痛もあります。それぞれの原因について見ていきましょう。

筋肉痛とは、過剰な運動や不慣れな運動が原因となり、首や肩、腕や腰、脚などに生じる筋肉の痛みのこと。正式名称は「筋・筋膜性疼痛症候群」と言います。なにやら難しい名前ですが、誰でも経験のある痛みで、激しい運動をしなくても日常生活を送る中で筋肉痛になることもあります。
普段身体を動かさない人ほど筋肉痛になりやすいと言われますが、これは「遅発性筋肉痛」といって、運動後数時間から数日後に生じる筋肉の痛みのこと。世の中では多くの場合、この遅発性筋肉痛を総じて「筋肉痛」と呼んでいます。
また、筋肉痛には「早発性筋肉痛」というのもあり、運動中に痛みが発生する筋肉痛もあります。それぞれの原因について見ていきましょう。

 筋肉痛の原因1 運動後数時間〜数日後に起こる「遅発性筋肉痛」の場合

 筋肉痛の原因1 運動後数時間〜数日後に起こる「遅発性筋肉痛」の場合


過剰な運動や不慣れな運動をした翌日、もしくは翌々日になってから起こる筋肉の圧痛。多くの人が経験する、この遅れてやってくる痛みが「遅発性筋肉痛」です。
遅発性筋肉痛の原因(しくみ)には、定説である「筋損傷をともなう」遅発性筋肉痛と、新説である「筋損傷をともなわない」遅発性筋肉痛の2説があります。
ちなみに、以前までは筋肉に乳酸という疲労物質が溜まることで筋肉痛が起こる原因と考えられていましたが、現在では乳酸は傷の修復促進など身体に必要なエネルギーとして再利用されているため、筋肉痛の直接的な原因には当たらないという認識が当たり前となっています。

過剰な運動や不慣れな運動をした翌日、もしくは翌々日になってから起こる筋肉の圧痛。多くの人が経験する、この遅れてやってくる痛みが「遅発性筋肉痛」です。
遅発性筋肉痛の原因(しくみ)には、定説である「筋損傷をともなう」遅発性筋肉痛と、新説である「筋損傷をともなわない」遅発性筋肉痛の2説があります。
ちなみに、以前までは筋肉に乳酸という疲労物質が溜まることで筋肉痛が起こる原因と考えられていましたが、現在では乳酸は傷の修復促進など身体に必要なエネルギーとして再利用されているため、筋肉痛の直接的な原因には当たらないという認識が当たり前となっています。

骨格筋の構造 骨格筋の構造

筋線維が集まって筋束ができ、筋束がさらにいくつも束ねられて筋を構成している。

筋線維が集まって筋束ができ、筋束がさらにいくつも束ねられて筋を構成している。

[原因の定説・筋損傷をともなう遅発性筋肉痛]

[原因の定説・筋損傷をともなう遅発性筋肉痛]

遅発性筋肉痛の原因の定説では、筋線維の炎症反応で痛みが起こるとされています。
身体の動きを担う筋肉(骨格筋)は、数千にもおよぶ「筋線維」の集合から成り立っており、運動やトレーニング、または慣れない動きの連続などで筋肉が強い力を発揮し続けると、筋線維のところどころに少しずつ損傷が生じ、そこから炎症反応が起こります。
筋線維自体には痛みを感じる神経はありませんが、炎症が原因となり、その反応過程でヒスタミンが分泌されます。このヒスタミンは痛みを引き起こす原因物質でもあるため、筋膜や周辺の組織に分布する神経が刺激され、炎症部分に「筋肉痛」としての痛みが生じます。
このように、定説での遅発性筋肉痛は、段階的に経路を追って起こると考えられています。

遅発性筋肉痛の原因の定説では、筋線維の炎症反応で痛みが起こるとされています。
身体の動きを担う筋肉(骨格筋)は、数千にもおよぶ「筋線維」の集合から成り立っており、運動やトレーニング、または慣れない動きの連続などで筋肉が強い力を発揮し続けると、筋線維のところどころに少しずつ損傷が生じ、そこから炎症反応が起こります。
筋線維自体には痛みを感じる神経はありませんが、炎症が原因となり、その反応過程でヒスタミンが分泌されます。このヒスタミンは痛みを引き起こす原因物質でもあるため、筋膜や周辺の組織に分布する神経が刺激され、炎症部分に「筋肉痛」としての痛みが生じます。
このように、定説での遅発性筋肉痛は、段階的に経路を追って起こると考えられています。

[原因の新説・筋損傷をともなわない遅発性筋肉痛]

[原因の新説・筋損傷をともなわない遅発性筋肉痛]

遅発性筋肉痛の原因の新説では、筋線維は炎症を起こしていないが、筋肉の疲労により様々な作用が起こって神経過敏になった結果、筋肉痛を感じると言われています。
詳しい原因のメカニズムは次の通りです。
運動が続いて徐々に筋肉が疲労してくると、筋線維の細胞膜の持つ気体や液体やイオンなどを透過させる性質に異変が起こり、本来は細胞膜から出ないはずの、筋肉の損傷に反応する酵素や、酸素を運搬するタンパク質などの物質が血管に入っていきます。すると、組織内ではブラジキニンという発痛物質が分泌、さらにその物質が筋線維に作用して神経成長因子NGFをつくらせるなどのさまざまな反応が起こり、結果的に感覚神経の感度を高めて神経過敏となり、普段は感知できないレベルの痛みでも敏感に反応し、感じ取ってしまうようになります。
これが新説として近年登場した、筋線維の損傷をともなわない遅発性筋肉痛の原因です。

遅発性筋肉痛の原因の新説では、筋線維は炎症を起こしていないが、筋肉の疲労により様々な作用が起こって神経過敏になった結果、筋肉痛を感じると言われています。
詳しい原因のメカニズムは次の通りです。
運動が続いて徐々に筋肉が疲労してくると、筋線維の細胞膜の持つ気体や液体やイオンなどを透過させる性質に異変が起こり、本来は細胞膜から出ないはずの、筋肉の損傷に反応する酵素や、酸素を運搬するタンパク質などの物質が血管に入っていきます。すると、組織内ではブラジキニンという発痛物質が分泌、さらにその物質が筋線維に作用して神経成長因子NGFをつくらせるなどのさまざまな反応が起こり、結果的に感覚神経の感度を高めて神経過敏となり、普段は感知できないレベルの痛みでも敏感に反応し、感じ取ってしまうようになります。
これが新説として近年登場した、筋線維の損傷をともなわない遅発性筋肉痛の原因です。

 筋肉痛の原因2 運動中〜直後に起こる「早発性筋肉痛」の場合

 筋肉痛の原因2 運動中〜直後に起こる「早発性筋肉痛」の場合


運動中にズキっとする痛みが生じ、思うように運動が続けられなくなることがあります。筋肉の局所に筋結節ができて硬くなったような痛みです。このように急激に起こる筋肉痛が「早発性筋肉痛」です。
早発性筋肉痛は、筋膜の部分断裂などの物理的なダメージが原因である場合や、筋肉の代謝物である水素イオンなどがたまって筋肉内の痛み受容器を刺激することが原因で、発症する筋肉痛です。
短距離走や重量挙げなど、筋肉に急激で強い負担がかかりやすい激しい運動では、筋肉の過度な緊張が続き、血流不足となることが原因で引き起こされると考えられ、スポーツマンに多い筋肉痛と言えます。

運動中にズキっとする痛みが生じ、思うように運動が続けられなくなることがあります。筋肉の局所に筋結節ができて硬くなったような痛みです。このように急激に起こる筋肉痛が「早発性筋肉痛」です。
早発性筋肉痛は、筋膜の部分断裂などの物理的なダメージが原因である場合や、筋肉の代謝物である水素イオンなどがたまって筋肉内の痛み受容器を刺激することが原因で、発症する筋肉痛です。
短距離走や重量挙げなど、筋肉に急激で強い負担がかかりやすい激しい運動では、筋肉の過度な緊張が続き、血流不足となることが原因で引き起こされると考えられ、スポーツマンに多い筋肉痛と言えます。

筋肉痛のタイムラグは年齢が関係している?

筋肉痛のタイムラグは年齢が関係している?

「年齢を経ると、運動してから筋肉痛が発症するまでの期間が長くなる」とよく言われますが、これは俗説と考えてよいかもしれません。「若い頃はすぐに痛みが出たのに」という記憶は、もしかしたら曖昧なものなのかもしれません。
筋肉痛の年齢による発症タイムラグについては、今のところ医学的には肯定も否定もされておらず、筋肉痛の発症タイミングやピークには年齢による差はないとの報告も出されています。
ただ、ひとつ言えるのは、慢性的な運動不足が続くと筋力はどんどん衰えて弱くなっていきます。さらに毛細血管が発達しなくなるので、筋繊維の修復のための物質が届けにくくなり、同じ理由から、痛み物質の除去にも時間がかかるようになってしまいます。
いずれにせよ、年齢に関わらず、日頃から適度な運動を心がけることが最も大切なことのようです。

「年齢を経ると、運動してから筋肉痛が発症するまでの期間が長くなる」とよく言われますが、これは俗説と考えてよいかもしれません。「若い頃はすぐに痛みが出たのに」という記憶は、もしかしたら曖昧なものなのかもしれません。
筋肉痛の年齢による発症タイムラグについては、今のところ医学的には肯定も否定もされておらず、筋肉痛の発症タイミングやピークには年齢による差はないとの報告も出されています。
ただ、ひとつ言えるのは、慢性的な運動不足が続くと筋力はどんどん衰えて弱くなっていきます。さらに毛細血管が発達しなくなるので、筋繊維の修復のための物質が届けにくくなり、同じ理由から、痛み物質の除去にも時間がかかるようになってしまいます。
いずれにせよ、年齢に関わらず、日頃から適度な運動を心がけることが最も大切なことのようです。

筋肉痛を起こしやすい動き「エキセントリック収縮」

筋肉痛を起こしやすい動き「エキセントリック収縮」

筋肉痛の原因を見てきましたが、では、どんな運動が筋肉痛を起こしやすくするのでしょうか?
たとえば山登り。登るときよりも、山を降りる動作で筋肉痛を発症しやすくなります。また、バーベルの上げ下げでは、上げるよりも下ろす動作で筋肉痛を発症します。
山を降りる、バーベルを下ろす、このような動きを「ブレーキング動作」と言いますが、共通しているのは、筋肉が大きな力を出しながら外力によって引き伸ばされる筋活動「エキセントリック収縮(伸張性収縮)」をしているということです。
このエキセントリック収縮は、ブレーキをかけながらゆっくり山を降りる、ゆっくりバーベルを下ろすときの筋肉の収縮です。こうした筋肉が伸びる動きに負荷がかかると、筋線維や筋線維の周囲の結合組織が傷つき、炎症が起こり、筋肉痛の原因となるわけです。
筋肉のエキセントリック収縮は、日常生活の何気ないシーンでも絶えず起こっています。たとえば、荷物をそっと床に置く、椅子やソファにゆっくり腰を下ろす、階段をゆっくり降りるなどです。
日常生活のなかでも筋肉痛を起こさないように注意しなければなりませんね。

筋肉痛の原因を見てきましたが、では、どんな運動が筋肉痛を起こしやすくするのでしょうか?
たとえば山登り。登るときよりも、山を降りる動作で筋肉痛を発症しやすくなります。また、バーベルの上げ下げでは、上げるよりも下ろす動作で筋肉痛を発症します。
山を降りる、バーベルを下ろす、このような動きを「ブレーキング動作」と言いますが、共通しているのは、筋肉が大きな力を出しながら外力によって引き伸ばされる筋活動「エキセントリック収縮(伸張性収縮)」をしているということです。
このエキセントリック収縮は、ブレーキをかけながらゆっくり山を降りる、ゆっくりバーベルを下ろすときの筋肉の収縮です。こうした筋肉が伸びる動きに負荷がかかると、筋線維や筋線維の周囲の結合組織が傷つき、炎症が起こり、筋肉痛の原因となるわけです。
筋肉のエキセントリック収縮は、日常生活の何気ないシーンでも絶えず起こっています。たとえば、荷物をそっと床に置く、椅子やソファにゆっくり腰を下ろす、階段をゆっくり降りるなどです。
日常生活のなかでも筋肉痛を起こさないように注意しなければなりませんね。

エキセントリック収縮(伸張性収縮) エキセントリック収縮(伸張性収縮)

「エキセントリック収縮(伸張性収縮)」
筋肉が収縮して力を出しながら、収縮する方向とは反対の方向に長く引き伸ばされながらもブレーキをかける動き。

「エキセントリック収縮(伸張性収縮)」
筋肉が収縮して力を出しながら、収縮する方向とは反対の方向に長く引き伸ばされながらもブレーキをかける動き。

コンセントリック収縮(短縮性収縮) コンセントリック収縮(短縮性収縮)

「コンセントリック収縮(短縮性収縮)」
筋肉が力を出しながら短くなる筋活動

「コンセントリック収縮(短縮性収縮)」
筋肉が力を出しながら短くなる筋活動

筋肉痛の原因についてのまとめ

筋肉痛の原因についてのまとめ

私たちが日常的に体験する筋肉痛のほとんどは「遅発性筋肉痛」ですが、その原因に筋損傷をともなう原因と、ともなわない原因のふたつの説があることをご紹介しました。現在では、筋損傷をともなわない遅発性筋肉痛であると言う新説が有力だとか。
また、よく言われている「年齢が高くなると筋肉痛が出るまでに時間がかかる」という筋肉痛のタイムラグに年齢は関係ないようです。久しぶりにボーリングをしたり、気分転換に山へとハイキングに出かけたりして、後日忘れた頃にやってくる筋肉痛に年齢を感じる…というのは、別のところに原因があったのかもしれません。
激しい運動後だけではなく、日常生活の動作の後など、筋肉痛は思いもかけないときにやってきます。片付けで重いものを持ちながら階段の上り下りが続いたなどというときにも筋肉痛は起こります。筋肉痛とは何か、その原因について、まだはっきりしていないことも多いので、もしかしたらこれから先、他にもいろいろ新しい説が出てくるのかもしれません。

私たちが日常的に体験する筋肉痛のほとんどは「遅発性筋肉痛」ですが、その原因に筋損傷をともなう原因と、ともなわない原因のふたつの説があることをご紹介しました。現在では、筋損傷をともなわない遅発性筋肉痛であると言う新説が有力だとか。
また、よく言われている「年齢が高くなると筋肉痛が出るまでに時間がかかる」という筋肉痛のタイムラグに年齢は関係ないようです。久しぶりにボーリングをしたり、気分転換に山へとハイキングに出かけたりして、後日忘れた頃にやってくる筋肉痛に年齢を感じる…というのは、別のところに原因があったのかもしれません。
激しい運動後だけではなく、日常生活の動作の後など、筋肉痛は思いもかけないときにやってきます。片付けで重いものを持ちながら階段の上り下りが続いたなどというときにも筋肉痛は起こります。筋肉痛とは何か、その原因について、まだはっきりしていないことも多いので、もしかしたらこれから先、他にもいろいろ新しい説が出てくるのかもしれません。