女性の髪の分け目が薄くなる主な原因には、次のようなものがあります。

分け目が薄くなる原因① 壮年性脱毛症

加齢による薄毛は広範囲にわたって頭部全体的に起こりますが、分け目が特に薄くなってきたという場合は、「壮年性脱毛症」の可能性があります。

壮年性脱毛症では、髪の「成長期」が短くなり、ヘアサイクルが早い周期で繰り返されます。髪が太くしっかりと育たないまま「休止期」に入るので、細く短い毛（軟毛）が増え、抜け落ちた毛も細く短い（数cm以内）ことが特徴です。

同時に、髪を育てる「毛包」も萎縮していくので、健康な髪が育ちにくくなり、髪の本数も少なくなって、地肌が透けて見えるようになります。

女性の壮年性脱毛症では、進行パターンに次のような特徴が見られます。

＜女性の壮年性脱毛症の進行パターン＞

ルードウィッグ型…頭頂部から後頭部にかけて特に薄くなる。女性の壮年性脱毛症で最も多いタイプ。進行すると、正面の生え際まで薄毛が広がることもあります。
クリスマスツリー型…生え際が広く薄くなり、頭頂部に向かうに従って、薄い部分が細くなる。地肌がクリスマスツリーのような三角形に見えることからこう呼ばれます。

これらの進行パターンは男性の壮年性脱毛症と似ていますが、女性の場合は男性とは違い、全体的に毛量が減っていき、男性ほどはっきりと局所的な薄毛にならないことも特徴です。

女性の壮年性脱毛症の発症メカニズムについては諸説ありますが、男性ホルモンや遺伝的要因の他、生活習慣のかかわりも大きいと考えられています。

分け目が薄くなる原因② 栄養不足
体の末端にある髪は、栄養が不足すると真っ先にその影響が現れやすい部位です。ご飯やパン、麺類などの糖質過多の食事、ファストフードや加工食品に偏った食事などは、髪に必要な栄養素が不足しやすく、薄毛の原因となります。無理なダイエットはもちろん、健康によいと思って特定の食品をカットするようなダイエットであっても、必要な栄養素が摂れていないことがあるので注意が必要です。

髪に必要で、しかも不足しがちな栄養素としては、「タンパク質」「ビタミンB群」「鉄」「亜鉛」の4つが挙げられます。特に生理のある女性の多くは潜在的な貧血状態（「かくれ貧血」の状態）にあるといわれ、鉄の摂取はとても大事です。鉄が不足すると頭皮や髪に酸素と栄養素が十分に行き届かず、髪がボリュームダウンして分け目が薄くなる可能性が高まります。

分け目が薄くなる原因③ 睡眠不足

睡眠時間は一般的に、6～7時間とるのが望ましいとされていますが、時間の長さよりも“睡眠の質”のほうが問題です。眠りが浅く、深い眠りが得られないと、髪の成長に大きく影響する「成長ホルモン」をはじめとするホルモン分泌が不安定になり、薄毛を進めるリスクが高まります。成長ホルモンの分泌のためには、スムーズに睡眠に入り、途中覚醒なく3時間以上継続して眠れることがポイントです。寝る直前までスマホやパソコン作業をしていたり、夜遅くに食事を摂っていたりすることなどは、これを妨げる原因となってしまうので注意しましょう。

分け目が薄くなる原因④ ストレス
過度なストレスは細胞や遺伝子を傷つける活性酸素を増やしたり、ホルモン分泌を不安定にしたり、自律神経の乱れを引き起こして頭皮の血流を悪くするなど、髪の健康に様々な悪影響を与えます。また、ストレスによって眠れなくなって睡眠の質が低下すると、睡眠中にたくさん分泌される成長ホルモンにも支障をきたし、健やかな髪が育ちにくくなります。

分け目が薄くなる原因⑤ 紫外線
紫外線は体内に活性酸素を増やして細胞の老化を進め、シミやしわの原因となるだけでなく、薄毛を進行させる原因ともなります。紫外線量の多い春先から秋口にかけては特に注意が必要です。肌の紫外線対策はしていても、髪や地肌の紫外線対策にはあまり気を遣っていない人もいるかもしれません。帽子や日傘などで、髪と地肌が紫外線にさらされないように対策していきましょう。

分け目が薄くなる原因⑥ 運動不足
適度な運動をすることも、髪にとっては大切です。「筋トレ」は成長ホルモンの分泌を促し、薄毛の予防に役立ちます。また、軽いジョギングや早歩きなど、息が弾む程度の「有酸素運動」も代謝を活発にし、頭皮のターンオーバーや血流アップを促します。分け目の薄さが気になってくる世代の女性は、仕事や家事、育児などで忙しく、運動不足になりがちです。運動に時間が割けない人は、家事をキビキビ行う、エスカレーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で体を使う時間を増やしてみましょう。