監修
監修
自治医科大学 名誉教授
菅野 健太郎先生
自治医科大学 名誉教授
菅野 健太郎先生
1973年東京大学医学部医学科卒業。76年東京大学医学部第三内科に所属、アメリカ留学後、85年同大学医学部第三内科助手、91年東京大学保健センター助教授・副所長。98年自治医科大学消化器内科主任教授。2014年より同大学名誉教授。日本消化器関連学会機構理事長、アジア太平洋消化器学会機構理事長などを歴任。
消化管の細胞生物学的研究(消化管ホルモン、酸分泌機構、細菌と胃癌)ならびに消化管疾患の治療と予防に関する研究を行っている。
1973年東京大学医学部医学科卒業。76年東京大学医学部第三内科に所属、アメリカ留学後、85年同大学医学部第三内科助手、91年東京大学保健センター助教授・副所長。98年自治医科大学消化器内科主任教授。2014年より同大学名誉教授。日本消化器関連学会機構理事長、アジア太平洋消化器学会機構理事長などを歴任。
消化管の細胞生物学的研究(消化管ホルモン、酸分泌機構、細菌と胃癌)ならびに消化管疾患の治療と予防に関する研究を行っている。
うつ病は男性よりも女性で多く見られます。うつ病のメカニズムはまだはっきりとわかっていないため、女性に多い理由も明らかになってはいませんが、一つの要因として、女性ホルモンの影響で、女性は脳内でのセロトニン産生が男性よりも少ないことが関連している可能性が考えられます。うつ病の治療では、脳内のセロトニン濃度を上昇させるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が多用されています。
神経伝達物質のセロトニンは、喜びや快楽などをもたらすドパミン、恐怖や驚きなどをもたらすノルアドレナリンなど、他の神経伝達物質の情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。そのため、セロトニンが低下するとこれらのコントロールが不安定になり、バランスを崩すことで攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック症などの精神症状を引き起こすといわれています。
うつ病は男性よりも女性で多く見られます。うつ病のメカニズムはまだはっきりとわかっていないため、女性に多い理由も明らかになってはいませんが、一つの要因として、女性ホルモンの影響で、女性は脳内でのセロトニン産生が男性よりも少ないことが関連している可能性が考えられます。うつ病の治療では、脳内のセロトニン濃度を上昇させるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が多用されています。
神経伝達物質のセロトニンは、喜びや快楽などをもたらすドパミン、恐怖や驚きなどをもたらすノルアドレナリンなど、他の神経伝達物質の情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。そのため、セロトニンが低下するとこれらのコントロールが不安定になり、バランスを崩すことで攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニック症などの精神症状を引き起こすといわれています。
セロトニンをつくるために必要なのが、トリプトファンと呼ばれるアミノ酸です。
しかし、トリプトファンはセロトニンだけでなく、キヌレニンと呼ばれる物質にも代謝されます。キヌレニンも体にとって大切な働きをしますが、トリプトファンが過剰にキヌレニンに代謝されると、セロトニンの生成量が低下してしまうことに。
こうした過剰代謝の原因となるのが慢性炎症やストレス、そして腸内細菌叢の異常もその一つです。トリプトファンのキヌレニン代謝は、脳だけでなく、腸内細菌によって腸管でも行われます。セロトニンと違ってキヌレニンは血液脳関門※を通過します。キヌレニン代謝経路で生成される物質は神経伝達に影響する物質のほかに神経毒性を示すものも知られており、うつだけではなく、統合失調症、パーキンソン病など他の重要な神経疾患へも関与している可能性があることから、キヌレニン代謝についての研究が進められています。
このことからも、うつ病の改善には腸内環境を整えることも大切なポイントであり、健康な成人を対象にした研究ではプロバイオティクスの摂取によって不安や抑うつ尺度が低下したというデータも報告されています。
腸内環境は日々の生活で改善することができ、その改善は"うつ"に対してもよい影響を与える可能性があります。気分が落ち込む日が続いた時もぜひ腸活を意識してみてください。
セロトニンをつくるために必要なのが、トリプトファンと呼ばれるアミノ酸です。
しかし、トリプトファンはセロトニンだけでなく、キヌレニンと呼ばれる物質にも代謝されます。キヌレニンも体にとって大切な働きをしますが、トリプトファンが過剰にキヌレニンに代謝されると、セロトニンの生成量が低下してしまうことに。
こうした過剰代謝の原因となるのが慢性炎症やストレス、そして腸内細菌叢の異常もその一つです。トリプトファンのキヌレニン代謝は、脳だけでなく、腸内細菌によって腸管でも行われます。セロトニンと違ってキヌレニンは血液脳関門※を通過します。キヌレニン代謝経路で生成される物質は神経伝達に影響する物質のほかに神経毒性を示すものも知られており、うつだけではなく、統合失調症、パーキンソン病など他の重要な神経疾患へも関与している可能性があることから、キヌレニン代謝についての研究が進められています。
このことからも、うつ病の改善には腸内環境を整えることも大切なポイントであり、健康な成人を対象にした研究ではプロバイオティクスの摂取によって不安や抑うつ尺度が低下したというデータも報告されています。
腸内環境は日々の生活で改善することができ、その改善は"うつ"に対してもよい影響を与える可能性があります。気分が落ち込む日が続いた時もぜひ腸活を意識してみてください。
※血液から脳組織への物質の移行を制限する仕組みのこと
※血液から脳組織への物質の移行を制限する仕組みのこと