人間の体にはさまざまなところに細菌がいて、腸管内だけでなく口腔や皮膚、そして腟にも存在しています。腟内菌叢は近接する臓器の細菌叢とも関与しており、腸内細菌の一部も腟内に移行していることが分かっています。
人間の体にはさまざまなところに細菌がいて、腸管内だけでなく口腔や皮膚、そして腟にも存在しています。腟内菌叢は近接する臓器の細菌叢とも関与しており、腸内細菌の一部も腟内に移行していることが分かっています。
監修
監修
日本大学医学部 微生物学教授
早川 智先生
日本大学医学部 微生物学教授
早川 智先生
生殖器の粘膜免疫を専門に研究し、腸内細菌との関連の論文も発表。感染症や免疫に関する多様な研究を行っている。
生殖器の粘膜免疫を専門に研究し、腸内細菌との関連の論文も発表。感染症や免疫に関する多様な研究を行っている。
総合監修
総合監修
自治医科大学 名誉教授
菅野 健太郎先生
自治医科大学 名誉教授
菅野 健太郎先生
1973年東京大学医学部医学科卒業。76年東京大学医学部第三内科に所属、アメリカ留学後、85年同大学医学部第三内科助手、91年東京大学保健センター助教授・副所長。98年自治医科大学消化器内科主任教授。2014年より同大学名誉教授。日本消化器関連学会機構理事長、アジア太平洋消化器学会機構理事長などを歴任。
消化管の細胞生物学的研究(消化管ホルモン、酸分泌機構、細菌と胃癌)ならびに消化管疾患の治療と予防に関する研究を行っている。
1973年東京大学医学部医学科卒業。76年東京大学医学部第三内科に所属、アメリカ留学後、85年同大学医学部第三内科助手、91年東京大学保健センター助教授・副所長。98年自治医科大学消化器内科主任教授。2014年より同大学名誉教授。日本消化器関連学会機構理事長、アジア太平洋消化器学会機構理事長などを歴任。
消化管の細胞生物学的研究(消化管ホルモン、酸分泌機構、細菌と胃癌)ならびに消化管疾患の治療と予防に関する研究を行っている。
腸内細菌叢はさまざまな種類の菌がいる多様性のある状態が良いとされていますが、腟内はその逆で少ない菌種が独占している状態が良いといわれています。
なかでも多く存在しているのが乳酸菌の一種であるラクトバチルス属と呼ばれる細菌群です。この乳酸菌が産生する乳酸の作用によって腟内環境が酸性に保たれ、カンジダやその他の感染症の原因となる細菌の増殖を抑えて腟内環境を正常に維持しています。しかし、腟内細菌のバランスが乱れると細菌性腟症をはじめ、子宮内膜炎や性感染症、妊婦では早産などさまざまな疾患のリスクになるといわれています。
腸内細菌叢はさまざまな種類の菌がいる多様性のある状態が良いとされていますが、腟内はその逆で少ない菌種が独占している状態が良いといわれています。
なかでも多く存在しているのが乳酸菌の一種であるラクトバチルス属と呼ばれる細菌群です。この乳酸菌が産生する乳酸の作用によって腟内環境が酸性に保たれ、カンジダやその他の感染症の原因となる細菌の増殖を抑えて腟内環境を正常に維持しています。しかし、腟内細菌のバランスが乱れると細菌性腟症をはじめ、子宮内膜炎や性感染症、妊婦では早産などさまざまな疾患のリスクになるといわれています。
普段何気なくやっていることでも、実は腟内の細菌にとってはよくない行動があります。腟内の乳酸菌の割合を低下させないためにも、菌叢を悪化させる原因を知っておきましょう。
普段何気なくやっていることでも、実は腟内の細菌にとってはよくない行動があります。腟内の乳酸菌の割合を低下させないためにも、菌叢を悪化させる原因を知っておきましょう。
腟の洗い過ぎ
腟の洗い過ぎ
洗浄したときに大切な腟内細菌も一緒に流されてしまうことがあるので、頻回の消毒や自己洗浄は控えましょう。温水洗浄便座のビデを使う際も、表面を流す程度にして中まで洗わないように。
洗浄したときに大切な腟内細菌も一緒に流されてしまうことがあるので、頻回の消毒や自己洗浄は控えましょう。温水洗浄便座のビデを使う際も、表面を流す程度にして中まで洗わないように。
長時間のタンポンの使用
長時間のタンポンの使用
タンポンを長時間入れたままにするのはNGです。使用上の注意を守って正しく使うことが大切です。
タンポンを長時間入れたままにするのはNGです。使用上の注意を守って正しく使うことが大切です。
セクシャルアクティビティ
セクシャルアクティビティ
性行為のパートナーが複数人いることも菌叢を悪化させる要因のひとつです。相手あるいは自分自身の外陰部にある雑菌が性行為によって腟に侵入してしまいます。
性行為のパートナーが複数人いることも菌叢を悪化させる要因のひとつです。相手あるいは自分自身の外陰部にある雑菌が性行為によって腟に侵入してしまいます。
抗菌薬(抗生剤など)
抗菌薬(抗生剤など)
抗菌薬も菌叢に影響を及ぼすため、疾患の治療目的以外でむやみに使わないように。
また、風邪の大半はウイルスが原因でおきるので、細菌には有効な抗菌薬は、細菌との混合感染がある場合を除き、効きません。かぜには効かないのに抗菌薬を出してもらおうとしたり、処方された日数分を使いきらずとっておいたりするのはやめましょう。
抗菌薬も菌叢に影響を及ぼすため、疾患の治療目的以外でむやみに使わないように。
また、風邪の大半はウイルスが原因でおきるので、細菌には有効な抗菌薬は、細菌との混合感染がある場合を除き、効きません。かぜには効かないのに抗菌薬を出してもらおうとしたり、処方された日数分を使いきらずとっておいたりするのはやめましょう。
たばこ
たばこ
喫煙者に細菌性腟症が多いというデータもあり、たばこに含まれる何らかの成分が影響している可能性があります。
喫煙者に細菌性腟症が多いというデータもあり、たばこに含まれる何らかの成分が影響している可能性があります。
腟内菌叢を整えるためには、腸内菌叢をよい状態にしておくことが大切といえるかもしれません。
腸でも腟でも、共に生きるパートナーである細菌が適切に働ける環境をつくり、健康を目指していきましょう。
腟内菌叢を整えるためには、腸内菌叢をよい状態にしておくことが大切といえるかもしれません。
腸でも腟でも、共に生きるパートナーである細菌が適切に働ける環境をつくり、健康を目指していきましょう。