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妊娠期の腸内細菌が、
胎児の発達や出生後の肥満に影響する?!

妊娠期の腸内細菌が、
胎児の発達や出生後の肥満に
影響する?!

近年、食の欧米化や食物繊維の不足といった食生活の変化などによって、肥満や糖尿病などになる人が増えていますが、その一因と考えられているのが腸内細菌です。さらに最近の研究では、妊娠中の母親の腸内細菌が胎児の発達に影響し、出生後の肥満につながる可能性があることも分かってきました。

近年、食の欧米化や食物繊維の不足といった食生活の変化などによって、肥満や糖尿病などになる人が増えていますが、その一因と考えられているのが腸内細菌です。さらに最近の研究では、妊娠中の母親の腸内細菌が胎児の発達に影響し、出生後の肥満につながる可能性があることも分かってきました。

おなかの中の胎児のイラスト おなかの中の胎児のイラスト

監修

監修

京都大学大学院 生命科学研究科 高次生命科学専攻 生体システム学分野 教授
木村 郁夫先生

京都大学大学院 生命科学研究科 高次生命科学専攻 生体システム学分野 教授
木村 郁夫先生

腸内細菌代謝産物、短鎖脂肪酸についての研究、特に宿主受容体側から肥満との関連について研究を行っている。

腸内細菌代謝産物、短鎖脂肪酸についての研究、特に宿主受容体側から肥満との関連について研究を行っている。

総合監修

総合監修

自治医科大学 名誉教授 菅野 健太郎先生 自治医科大学 名誉教授 菅野 健太郎先生

自治医科大学 名誉教授 
菅野 健太郎先生

自治医科大学 名誉教授 
菅野 健太郎先生

1973年東京大学医学部医学科卒業。76年東京大学医学部第三内科に所属、アメリカ留学後、85年同大学医学部第三内科助手、91年東京大学保健センター助教授・副所長。98年自治医科大学消化器内科主任教授。2014年より同大学名誉教授。日本消化器関連学会機構理事長、アジア太平洋消化器学会機構理事長などを歴任。
消化管の細胞生物学的研究(消化管ホルモン、酸分泌機構、細菌と胃癌)ならびに消化管疾患の治療と予防に関する研究を行っている。

1973年東京大学医学部医学科卒業。76年東京大学医学部第三内科に所属、アメリカ留学後、85年同大学医学部第三内科助手、91年東京大学保健センター助教授・副所長。98年自治医科大学消化器内科主任教授。2014年より同大学名誉教授。日本消化器関連学会機構理事長、アジア太平洋消化器学会機構理事長などを歴任。
消化管の細胞生物学的研究(消化管ホルモン、酸分泌機構、細菌と胃癌)ならびに消化管疾患の治療と予防に関する研究を行っている。

研究結果から見る「腸内細菌と肥満の関係」

研究結果から見る「腸内細菌と肥満の関係」


母親の腸内細菌叢が胎児の発達と出生後の疾患への感受性に及ぼす影響について、マウスを使った研究報告があります。

妊娠マウスを通常環境下(腸内細菌のいる状態)と、無菌環境下(腸内細菌がいない状態)で飼育し、それぞれの母親から生まれた仔マウスを比較すると、無菌の母親マウスから生まれた仔は、成長に伴って肥満になり、血糖値や中性脂肪の数値も高くなりました。

母親の腸内細菌叢が胎児の発達と出生後の疾患への感受性に及ぼす影響について、マウスを使った研究報告があります。

妊娠マウスを通常環境下(腸内細菌のいる状態)と、無菌環境下(腸内細菌がいない状態)で飼育し、それぞれの母親から生まれた仔マウスを比較すると、無菌の母親マウスから生まれた仔は、成長に伴って肥満になり、血糖値や中性脂肪の数値も高くなりました。

腸内細菌がいる妊娠マウスと腸内細菌がいない妊娠マウスのイラスト 腸内細菌がいる妊娠マウスと腸内細菌がいない妊娠マウスのイラスト

食物繊維を豊富に含むエサを妊娠中の母親マウス(通常)に与えた場合、生まれてきた仔マウスは肥満になりにくかったという結果に。母親の腸内細菌が産生した短鎖脂肪酸が胎盤を通じて胎児に移行し、神経系や膵臓などの正常な発達を促すことで、出生・成長後の肥満などを防ぐための代謝機能を調整したと考えられます。

食物繊維を豊富に含むエサを妊娠中の母親マウス(通常)に与えた場合、生まれてきた仔マウスは肥満になりにくかったという結果に。母親の腸内細菌が産生した短鎖脂肪酸が胎盤を通じて胎児に移行し、神経系や膵臓などの正常な発達を促すことで、出生・成長後の肥満などを防ぐための代謝機能を調整したと考えられます。

1. 母親が食べた食物繊維を腸内細菌が分解し短鎖脂肪酸を産生

1. 母親が食べた食物繊維を腸内細菌が分解し短鎖脂肪酸を産生

母親が食べた食物繊維を腸内細菌が分解し短鎖脂肪酸を産生しているマウスのイラスト 母親が食べた食物繊維を腸内細菌が分解し短鎖脂肪酸を産生しているマウスのイラスト

2. 短鎖脂肪酸が胎児に移行し正常な発達を促す

2. 短鎖脂肪酸が胎児に移行し正常な発達を促す

胎児の腸内は基本的に無菌状態とされており、自分で短鎖脂肪酸をつくることができません。
にもかかわらず、胎児の体には短鎖脂肪酸を受け取る構造が発現しています。
このことからも、胎児は母親の腸内から届けられる短鎖脂肪酸を感知していると考えられます。

胎児の腸内は基本的に無菌状態とされており、自分で短鎖脂肪酸をつくることができません。
にもかかわらず、胎児の体には短鎖脂肪酸を受け取る構造が発現しています。
このことからも、胎児は母親の腸内から届けられる短鎖脂肪酸を感知していると考えられます。

短鎖脂肪酸が胎児に移行し正常な発達を促しているマウス胎児のイラスト 短鎖脂肪酸が胎児に移行し正常な発達を促しているマウス胎児のイラスト

子どものその後の健康には生活環境をはじめさまざまなことが関連しますが、母親が自分自身の腸内細菌叢を整えておくことも、こどもの健康にとって重要な要素のひとつといえそうです。

子どものその後の健康には生活環境をはじめさまざまなことが関連しますが、母親が自分自身の腸内細菌叢を整えておくことも、こどもの健康にとって重要な要素のひとつといえそうです。

トピックス トピックス

短鎖脂肪酸とは

女性ホルモン(エストロゲン)と
似た働きをするエクオール

腸内細菌が食物繊維などからつくり出す酸の一種で、
代表的なものとしては酢酸やプロピオン酸、酪酸などがあります。
この短鎖脂肪酸は、体に悪影響を与える細菌の増殖を防いだり、腸のバリア機能を高めたりと、私たちの健康にとってさまざまな良い働きをすることが近年報告されており、注目されています。

腸内細菌が食物繊維などからつくり出す酸の一種で、
代表的なものとしては酢酸やプロピオン酸、酪酸などがあります。
この短鎖脂肪酸は、体に悪影響を与える細菌の増殖を防いだり、腸のバリア機能を高めたりと、私たちの健康にとってさまざまな良い働きをすることが近年報告されており、注目されています。