感染性胃腸炎(食中毒)は、細菌やウイルスなどが原因で、下痢や嘔吐、腹痛などの症状を引き起こす病気の総称です。集団感染や二次感染などを起こす場合もあるため、適切な予防・対処が大切です。幅広い年齢層で感染しますが、特に免疫力の弱い小児や高齢者は重症化しやすいので注意しましょう。
感染性胃腸炎(食中毒)は、細菌やウイルスなどが原因で、下痢や嘔吐、腹痛などの症状を引き起こす病気の総称です。集団感染や二次感染などを起こす場合もあるため、適切な予防・対処が大切です。幅広い年齢層で感染しますが、特に免疫力の弱い小児や高齢者は重症化しやすいので注意しましょう。
原因は多種多様
腸の働きが
異常な状態になった時
食中毒の原因となる細菌やウイルスには、様々なものがあります。
食中毒の原因となる細菌やウイルスには、様々なものがあります。
細菌やウイルスの種類によって、症状や潜伏期間なども異なります。適切に対処するためにも、特徴を正しく理解しておきましょう。
細菌やウイルスの種類によって、症状や潜伏期間なども異なります。適切に対処するためにも、特徴を正しく理解しておきましょう。
細菌
細菌
カンピロバクター
カンピロバクター
原因となる主な食品
加熱調理が不十分な肉類、特に鶏肉。
症状
発熱、倦怠感、頭痛、吐き気、腹痛、下痢、血便など。
潜伏期間
2〜5日程度。長くなる場合もある。
特徴
感染から発症するまでの期間が長いため、原因となる食品が何だったか分からないケースも多い。ほとんどの場合が1週間ほどで改善するが、合併症として感染1〜3週間後に、手足の麻痺や呼吸困難などを起こすギラン・バレー症候群を発症する場合がある。
原因となる主な食品
加熱調理が不十分な肉類、特に鶏肉。
症状
発熱、倦怠感、頭痛、吐き気、腹痛、下痢、血便など。
潜伏期間
2〜5日程度。長くなる場合もある。
特徴
感染から発症するまでの期間が長いため、原因となる食品が何だったか分からないケースも多い。ほとんどの場合が1週間ほどで改善するが、合併症として感染1〜3週間後に、手足の麻痺や呼吸困難などを起こすギラン・バレー症候群を発症する場合がある。
腸管出血性大腸菌(O157など)
腸管出血性大腸菌(O157など)
原因となる主な食品
加熱調理が不十分な肉類の他、野菜などが原因になることもある。
症状
水様性の下痢の他、激しい腹痛や血便など。
潜伏期間
3〜5日程度。
特徴
毒性が強く、症状が悪化すると死に至るケースもある。特に小児や高齢者などでは、脳症や溶血性尿毒症症候群(貧血や腎障害など)といった重篤な合併症を引き起こしやすい。
原因となる主な食品
加熱調理が不十分な肉類の他、野菜などが原因になることもある。
症状
水様性の下痢の他、激しい腹痛や血便など。
潜伏期間
3〜5日程度。
特徴
毒性が強く、症状が悪化すると死に至るケースもある。特に小児や高齢者などでは、脳症や溶血性尿毒症症候群(貧血や腎障害など)といった重篤な合併症を引き起こしやすい。
ウイルス
ウイルス
ノロウイルス
ノロウイルス
原因となる主な食品
加熱調理が不十分な牡蠣などの二枚貝。ウイルスに感染した人が調理して食品を汚染するケースもあり、原因が特定できない場合も多い。
症状
水様性の下痢、嘔吐、腹痛など。
潜伏期間
12〜48時間程度。
特徴
体力のある人は軽症ですむことが多いが、小児や高齢者は重症化することもある。人から人へ感染するため、人同士の接触が多い施設内や、便・嘔吐物の処理は注意が必要。国内の感染性胃腸炎の原因別患者数としては最も多い。
原因となる主な食品
加熱調理が不十分な牡蠣などの二枚貝。ウイルスに感染した人が調理して食品を汚染するケースもあり、原因が特定できない場合も多い。
症状
水様性の下痢、嘔吐、腹痛など。
潜伏期間
12〜48時間程度。
特徴
体力のある人は軽症ですむことが多いが、小児や高齢者は重症化することもある。人から人へ感染するため、人同士の接触が多い施設内や、便・嘔吐物の処理は注意が必要。国内の感染性胃腸炎の原因別患者数としては最も多い。
ロタウイルス
ロタウイルス
原因となる主な食品
ウイルスに感染した調理人を介して食品が汚染されるケースが多い。また、ノロウイルスと同じように人から人へ感染する。
症状
水様性の下痢(白っぽい便)、嘔吐、発熱など。
潜伏期間
1〜3日程度。
特徴
通常は1週間程度で改善するが、他のウイルス性胃腸炎に比べて下痢や嘔吐の症状が激しいことが多いため、脱水には特に注意が必要。ほとんどの人が5歳までに一度はロタウイルスに感染すると考えられている。
原因となる主な食品
ウイルスに感染した調理人を介して食品が汚染されるケースが多い。また、ノロウイルスと同じように人から人へ感染する。
症状
水様性の下痢(白っぽい便)、嘔吐、発熱など。
潜伏期間
1〜3日程度。
特徴
通常は1週間程度で改善するが、他のウイルス性胃腸炎に比べて下痢や嘔吐の症状が激しいことが多いため、脱水には特に注意が必要。ほとんどの人が5歳までに一度はロタウイルスに感染すると考えられている。
❶ 水分補給で脱水を予防!
❶ 水分補給で脱水を予防!
下痢の時に忘れてはいけないのが水分補給です。便と一緒に水分も排出されるため、体内の水分や塩分が不足して脱水状態になることも。
しっかりと水分や塩分を摂って、下痢による脱水を防ぎましょう。
下痢の時に忘れてはいけないのが水分補給です。便と一緒に水分も排出されるため、体内の水分や塩分が不足して脱水状態になることも。
しっかりと水分や塩分を摂って、下痢による脱水を防ぎましょう。
❷ 下痢は止めずに病原体を体の外へ!
❷ 下痢は止めずに病原体を体の外へ!
下痢や嘔吐は、細菌やウイルスを体の外へ出そうとして起こる防御反応です。そのため、なるべく下痢止めは使わずに、安静にして回復するのを待ちましょう。
腸の善玉菌を増やして腸内のバランスを整える整腸剤を使うのも一案です。
下痢や嘔吐は、細菌やウイルスを体の外へ出そうとして起こる防御反応です。そのため、なるべく下痢止めは使わずに、安静にして回復するのを待ちましょう。
腸の善玉菌を増やして腸内のバランスを整える整腸剤を使うのも一案です。
腸内環境を整えて感染性胃腸炎を予防
腸内環境を整えて感染性胃腸炎を予防
腸内には様々な種類の腸内細菌が多数生息しており、主に「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3グループ※に分けられます。悪玉菌より善玉菌が多い状態がバランスのよい腸内環境。しかし、食生活の乱れなどでそのバランスが崩れると、下痢や便秘になったり、感染症にかかるリスクが高まったりします。感染性胃腸炎の予防にも、腸内環境を整え抵抗力が落ちないようにすることが大切。日頃から乳酸菌や食物繊維などを摂るのも一つの方法です。
善玉菌を優勢にした腸内環境を維持するように心がけましょう。
腸内には様々な種類の腸内細菌が多数生息しており、主に「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3グループ※に分けられます。悪玉菌より善玉菌が多い状態がバランスのよい腸内環境。しかし、食生活の乱れなどでそのバランスが崩れると、下痢や便秘になったり、感染症にかかるリスクが高まったりします。感染性胃腸炎の予防にも、腸内環境を整え抵抗力が落ちないようにすることが大切。日頃から乳酸菌や食物繊維などを摂るのも一つの方法です。
善玉菌を優勢にした腸内環境を維持するように心がけましょう。
※ただし、この区分は必ずしも科学的に明確な基準があるわけではなく、条件によってはいわゆる善玉菌であっても体に悪い影響を与える場合があります。
※ただし、この区分は必ずしも科学的に明確な基準があるわけではなく、条件によってはいわゆる善玉菌であっても体に悪い影響を与える場合があります。
感染性胃腸炎の対策は決して難しいことではありません。ポイントをおさえて、しっかり予防しましょう。
感染性胃腸炎の対策は決して難しいことではありません。ポイントをおさえて、しっかり予防しましょう。
基本はやっぱり手洗い
基本はやっぱり手洗い
帰宅後やトイレの後、食事の前などはもちろん、調理中も生肉や魚介類、卵などをさわった際はしっかり手を洗うようにしましょう。
帰宅後やトイレの後、食事の前などはもちろん、調理中も生肉や魚介類、卵などをさわった際はしっかり手を洗うようにしましょう。
食品は中までしっかり加熱
食品は中までしっかり加熱
表面だけでなく、中まで十分に加熱することが感染予防のポイント。中心部の温度が75°Cで1分以上の加熱が目安です。
表面だけでなく、中まで十分に加熱することが感染予防のポイント。中心部の温度が75°Cで1分以上の加熱が目安です。
調理器具は常に清潔に
調理器具は常に清潔に
まな板や包丁は使用後すぐに洗浄する、生肉にふれた器具で他の食材にふれないなど、予防を徹底しましょう。
まな板や包丁は使用後すぐに洗浄する、生肉にふれた器具で他の食材にふれないなど、予防を徹底しましょう。
汚物処理に注意
汚物処理に注意
病原体は便や嘔吐物の中に潜んでいます。処理する際は、使い捨ての手袋とマスクをつけ、汚れた床は塩素系の消毒液を使って消毒しましょう。
病原体は便や嘔吐物の中に潜んでいます。処理する際は、使い捨ての手袋とマスクをつけ、汚れた床は塩素系の消毒液を使って消毒しましょう。
下痢や嘔吐がひどく、食べ物や飲み物が摂れない場合は、点滴をして脱水症を防ぐ必要があります。
つらい時は我慢せずに医師に相談してください。
下痢や嘔吐がひどく、食べ物や飲み物が摂れない場合は、点滴をして脱水症を防ぐ必要があります。
つらい時は我慢せずに医師に相談してください。
記事の監修 : 国立がん研究センター中央病院 感染症部/感染制御室 岩田 敏先生
記事の監修 : 国立がん研究センター中央病院 感染症部/感染制御室 岩田 敏先生
おなかのお悩みや腸内フローラ、乳酸菌に関するコンテンツをご用意しています。
おなかのお悩みや腸内フローラ、
乳酸菌に関するコンテンツを
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