PMS とは?どう対策・改善したらいいの?

月経前になると毎回イライラしたり、眠くなったり、だるさが出たり……そんな不調を感じてはいませんか?「月経前はつらいけれど、いざ始まるとつらさがなくなる」という場合、それはPMS(月経前症候群)かもしれません。PMSの主な症状や原因、改善のためのセルフケアを知って、適切な対策につなげましょう。

<監修>

橋口玲子先生
緑蔭診療所 副院長

はしぐち・れいこ1954年生まれ。東邦大学医学部卒業。医学博士。内科・小児科医、循環器専門医。神奈川県南足柄市にある緑蔭診療所で、西洋医学に漢方やアロマセラピー、ハーブを取り入れた診療を実践。セルフケアの指導も行う。著書に「補完・代替医療 ハーブ療法」(金芳堂)、「アロマ&ハーブセラピー手帖」(マイナビ出版)、「専門医が教える 体にやさしいハーブ生活」(幻冬舎)、「40歳からの幸せダイエット」(講談社)など。

目次

PMS(月経前症候群)とは

読んで字のごとく、月経(生理)の前に何らかの精神的、身体的症状が生じるのがPMS(月経前症候群)です。「Premenstrual Syndrome」の頭文字を取って、そう呼ばれています。医学的な基準では、月経が始まる2週間ほど前から月経が始まるまでの間、様々な心身の不調に悩まされるものの、月経が始まるとそれらの不調がなくなる場合、PMSと診断されます。

現れる症状はイライラ、むくみ、集中力の低下、眠気・睡眠障害、倦怠感、過食・食欲不振、便秘、お腹の張り、胸の張り、頭痛、めまいなど、非常に多岐にわたります。PMSの中でも、特に精神的な症状が強い場合をPMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder:月経前不快気分障害)と呼び、PMSと区別することもあります。

PMSはなぜ起きるの?

PMSが起こる原因は、はっきりと分かっていません。しかし、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの女性ホルモンの変化が関係していると考えられています。

<女性ホルモンと生理周期の解説>

エストロゲンとプロゲステロンは、月経周期と共に分泌量が変化していくことが知られています。
まず、月経終了後から排卵日にかけての期間に比較的多く分泌されるのが、エストロゲンです。エストロゲンには妊娠に備えて卵巣内の卵胞を成熟させたり、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚くしたりする他、肌のツヤをよくする、血管をしなやかに保つ、骨密度を維持するといった、様々な働きをもっています。このエストロゲンの作用によって、月経後から排卵日までは心身共に快調に過ごせる傾向があります。

排卵日が終わってから月経開始前までの期間は、プロゲステロンの分泌量が多くなります。プロゲステロンは受精卵が着床しやすいように子宮内膜を整えたり、体温を上げたり、乳腺を発達させたりする働きをもつホルモンです。ただし同時にむくみを生じさせたり、食欲を増加させたり、眠気やイライラなどを引き起こしたりという、女性にとって少し困った症状をもたらすこともあります。

PMSの改善につながるセルフケア

まずは自分の生理周期とPMSの症状を把握することが、セルフケアの第1歩です。基礎体温表や生理周期アプリなどを活用して、自分のリズムと症状をメモしてみましょう。続けることでPMSの時期と症状を予測できるようになり、「この時期は、無理な予定を入れないようにしよう」、「そろそろこんな症状が起きるかも…」と事前に備えることができて、気持ちに余裕が生まれます。その上で、心身に生じる様々な症状をセルフケアしていきましょう。

むくみ、だるさのセルフケア

PMSによる月経前のむくみと、それに伴う倦怠感(だるさ)が気になる人は、体にたまった余分な水分を排出させるセルフケアがおすすめです。ストレッチやお風呂にゆっくり浸かったりすることで、滞りがちな全身の血流を改善すると、むくみやだるさの改善につながります。

体に水分をため込みやすくする塩分や糖分、アルコールの摂取を控えることも大切です。タンポポの根を焙煎したタンポポコーヒーはむくみを緩和する利尿作用に優れたノンカフェイン飲料です。

便秘のセルフケア

PMSの症状として便秘に悩まされる人もいます。便秘の改善には、皆さんもよく知っている食物繊維を摂るのが効果的です。中でも海藻類、こんにゃくなどに多く含まれる水溶性食物繊維を摂取すると、食べたものがお腹の中をゆっくり通過するようになり、お腹が空きにくくなるので、便秘だけでなく過食も気になりやすい月経前にはおすすめです。また、間食には便を軟らかくする作用のあるマグネシウムを多く含んだアーモンドなどのナッツ類や、胚芽入りのシリアルなどがおすすめです。マグネシウムは他にも、海藻類や納豆、豆腐、ごまなどにも多く含まれています。こうした食品を摂りやすいのが昔ながらの和食です。PMSの時期には和食を意識して取り入れるのもよいでしょう。また、便秘の改善には水分をたっぷり摂ることも大切です。

過食のセルフケア

PMSの症状にひとつに過食があります。なぜか甘いものが食べたくなったり、やたらとお腹がすいたりというように過食の傾向が現れるのも、月経前にはよくあることです。そうした場合は無理して甘いものを我慢するというよりも、低脂肪のヨーグルトやフルーツ、寒天など、あらかじめ「これは食べてもOK」と決めておいたものを適量食べたほうが、過食予防につながります。また、盛り付けを工夫するなど、ひと手間加えることも食べ過ぎ防止に効果的です。例えばヨーグルトを容器からそのまま食べるのではなく、一度お皿に盛り付けて、ジャムとフルーツをのせ、砕いたナッツをトッピングするといったように手間をかけると、食べ過ぎを防ぐ効果があるといわれています。

PMSの時期は情緒が不安定になりがちです。そのため神経を興奮させる作用のあるカフェインの入った飲み物はなるべく避けたほうがよいでしょう。コーヒー、紅茶、栄養ドリンクなど、カフェインを多く含む飲み物の代わりにリンデン、レモンバーム、ジャーマンカモミールなどのハーブティーを飲むと、気持ちがスーッと落ち着くことがあります。

またハーブの他にアロマを味方につけて、気分をリラックスさせるのもおすすめです。月経前には普段頑張っている自分にご褒美をあげるつもりで、イランイランやローズ、ジャーマンカモミール、ジャスミンなどのちょっと贅沢な精油を使ってみましょう。精油と天然塩を混ぜたものを湯船に入れて、心地よい香りに包まれながら入浴すると、イライラが和らいでいくでしょう。

症状が重い場合は、受診を

PMSは心身共に不調をもたらすため、月経前は憂うつな気持ちになるという人も多いでしょう。しかし見方を変えてみると、「PMSがある」ということは、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンの分泌量が適切にメリハリをもって変化していると考えることもできます。つまり、女性ホルモンの分泌が正常だからこそ、PMSが起こるのです。そう思うと少しは気がラクになるのではないでしょうか。思うように物事が進まなくても、「月経前はこういうもの」と割り切って、ご紹介したセルフケアを実践しながら、穏やかに過ごすのもよいかもしれません。

ただし、日常生活に支障が生じるなど、つらいPMSの症状に悩まされている場合は無理をせず、医療機関を受診しましょう。個々の症状や体質に合わせた治療も可能ですので、PMSで悩んでいる人は我慢せず、適切に医療に頼ることも大切です。