自律神経を整える、食べ物&ハーブのチカラ

自律神経が乱れると体や心に様々な不調が現れることがあります。乱れた自律神経は、セルフケアで整えることが可能です。自律神経を整える生活習慣については別のウェルネスコラムでお伝えしていますので、こちらでは自律神経を整えるのに効果的といわれる食べ物、飲み物、ハーブについてご紹介します。

監修プロフィール
緑蔭診療所 はしぐち・れいこ 橋口 玲子 先生

1954年生まれ。東邦大学医学部卒業。医学博士。内科・小児科医、循環器専門医。神奈川県南足柄市にある緑蔭診療所で、西洋医学に漢方やアロマセラピー、ハーブを取り入れた診療を実践。セルフケアの指導も行う。著書に「補完・代替医療 ハーブ療法」(金芳堂)、「アロマ&ハーブセラピー手帖」(マイナビ出版)、「専門医が教える 体にやさしいハーブ生活」(幻冬舎)、「40歳からの幸せダイエット」(講談社)など。

自律神経の乱れは「交感神経」と「副交感神経」のバランスの乱れ

自律神経の乱れは「交感神経」と「副交感神経」のバランスの乱れ

自律神経は、体の様々な機能を調整するための神経です。「交感神経」と「副交感神経」の2つに分かれていて、交感神経は主に体を活発に動かす時に、副交感神経は主に体を休める時に働くという、相反する働きをもっています。交感神経と副交感神経がバランスを取り合うことで、血圧の上げ下げ、胃腸の蠕動など体の機能が調節されています。鳥肌が立つのも、実は自律神経の働きのひとつです。

通常はバランスを取り合っている自律神経ですが、ちょっとした原因で乱れることがあります。例えばストレス。ストレスは自律神経の乱れを引き起こす要因といわれています。

自律神経の乱れは「交感神経」と「副交感神経」のバランスの乱れ

ストレスというと、人間関係のいざこざや仕事のストレスといった心理的なことを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、そうした心理的なものだけがストレスになるわけではありません。私たちの心身に影響を及ぼすストレスには、以下のようなものがあるといわれています。

心理的・社会的ストレス:人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など

・物理的ストレス:暑さや寒さ、気候、騒音や混雑など

・化学的ストレス:薬物、空気中の有害物質など

このようにストレスには様々な種類があることが分かっています。現代人はこうした多様なストレスに囲まれていることから、交感神経が優位になりやすく、それによって自律神経が乱れやすいといわれています。

交感神経優位の場合には、ハーブティーのチカラで自律神経を整えよう

交感神経優位の場合には、ハーブティーのチカラで自律神経を整えよう

ストレスや刺激が多い人や、日常的に不安感や緊張が強い人は、副交感神経を優位にすることを意識して、自律神経を整えましょう。副交感神経の働きを高めるには、ハーブの力を借りるのがおすすめです。リラックスタイムにハーブティーを飲んで、日常的に副交感神経を優位にするタイミングをつくっていきましょう。下記のハーブは心身をリラックスさせ、自律神経の調整に役立つといわれています。


●パッションフラワー

パッションフラワーは精神を安定させ、安眠に導く作用をもつといわれるハーブです。寝つきが悪い人、ちょっとした音や光で目が覚めてしまうという人におすすめです。ハーブティーにすると、くせのない草木の香りが心地よい味わいをもたらしてくれます。


●リンデン

リンデン

リンデンは高ぶった気持ちを鎮め、体を温めて緊張でこわばった心や体をほぐす作用があるといわれています。ハーブティーにすると上品で甘い香りがします。寝る前に飲むと、ストレスや不安を抑えてくれるため、安眠しやすくなります。


●ジャーマンカモミール

ジャーマンカモミールは高いリラックス効果があるとされる、代表的な家庭用ハーブです。ストレスや不安、怒りなどを落ち着かせる他、内臓機能も整えるといわれています。カモミールティーはスーパーなどでもティーバッグとして売られているほど一般的で、甘みがあって飲みやすいため、ハーブ初心者にもおすすめです。


●レモンバーム

レモンバーム

レモンバームは悲しみや心配を和らげ、気持ちを明るくするハーブとして古くから用いられています。先々に不安がある人やストレスの影響で月経のリズムが乱れやすい人に効果的です。ハーブティーにすると酸味がなく、ふんわりとした後味を楽しめます。

自律神経がうまく切り替わらないことによって、不調が起きている場合も

自律神経がうまく切り替わらないことによって、不調が起きている場合も

現代人は交感神経が優位になりやすいというものの、多忙が続き、睡眠のリズムが狂ってしまうと自律神経の切り替えがうまくいかなくなることもあります。

例えば、朝から仕事に行くのがしんどい、仕事にやる気が出ない、集中できない……といったような場合は、眠りから覚めた後に、副交感神経から交感神経にうまく切り替わらないことによって、だるさが続いてしまっている場合も考えられます。

交感神経が優位になり過ぎることも、副交感神経が優位になり過ぎることも、どちらもよい状態ではありません。両方が一日の中で、メリハリよく働いていることが大切です。交感神経への切り替わりが鈍くなっている人は、食べ物の力を利用して活性化させましょう。

交感神経を活性化するには、自律神経を整える食べ物を味方に

交感神経を刺激し、体をポカポカと温めてくれる食べ物をご紹介します。


●香味野菜

香味野菜とは香りを添え、料理の味を引き立てるための野菜のことです。ショウガ、玉ねぎ、にんにく、ニラなど、辛みやパンチのある味わいの野菜が多く、食べると辛み成分が血流を促し、交感神経を活性化させていきます。料理のトッピングや隠し味として加えるなど、手軽に取り入れていきましょう。


●ビタミンEが豊富な食べ物

ビタミンEは手足の先端にあるような細い血管を拡張し、血流を促す作用があるといわれています。ビタミンEが豊富な食べ物は、手足の冷えが気になる人にはおすすめです。ビタミンEは、うなぎ、ナッツ類、グレープシードオイル、ひまわり油、米油などに多く含まれます。


●スパイスや生薬

スパイスや生薬

スパイスや漢方生薬も交感神経を活性化させるのに役立ちます。巡りをよくして、血圧の低下にも役立つ「ヒハツ」、体と心を温める効果がある「ナツメ」、血流を改善する効果があるクロセチンを含む「クチナシ(山梔子:サンシシ)」などを料理に振りかけたり、スープに入れたりして活用しましょう。

また、起きたらすぐに朝日を浴びることや、起きて1時間以内に朝食を摂ること、また、朝に熱いシャワーを浴びることなども、自律神経の切り替わりをサポートしてくれます。さらに、朝に爽快感のあるペパーミントやレモングラスなどのハーブティーを飲むのもおすすめです。

自律神経の乱れはストレスの解消、食生活や生活習慣の改善などによって整えることが可能です。上手にセルフケアを取り入れ、交感神経と副交感神経のバランスを整えていきましょう。


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