NARON IN DAY〜母と娘のとある一日〜

第三話

杏奈 控えめで神経質な長女(23歳)篇

「杏奈さん、これ15時までにこの資料お願いしてもいい?」
「あ、は、はい!たぶん・・・大丈夫です。できます」
「じゃあ、よろしくね」

(ああ、どうしよう、質問したいけれど、先輩忙しそうだし…)

社会人って大変だなぁ。いろんな人に気を遣うし。
私、昔から人の目が気になるタイプだから、この生活に慣れるまで時間かかりそう…
って、仕事のこと考え過ぎてなんだか頭がズキズキ…。

ようやく帰宅すると、家族はすでにみんな寝ていて、電気もついてない。

あ~あ、今日も失敗ばかり、怒られてばっかりだったな。
リビングの電気をつけるとテーブルの上におにぎりとナロンエースがあった。
そしてナロンエースの下に紙が置いてある。

――いつも遅くまでおつかれさま。慣れないことばかりだと思うけど、失敗や周りの目とか、そんなこと気にしないでいいからね。
我慢しすぎはよくないわよ!ナロンエースを飲んでしっかり寝てね。――

「お母さん…」
置手紙なんてお母さんらしいなぁ。

私はその日ナロンエースを飲んで、眠りについた。

「お母さん、昨日は、ありがとう。私がんばるよ…」
いつもよりよく眠れたような気がした朝、少し気恥ずかしかったけれど、私はお母さんに直接お礼を言った。

「なあに?今日はやけに素直ねー!その調子で、言いたいことはちゃんと言うのよ。」
お母さんが優しく微笑む。

「ほんとお母さんには敵わないなぁ…」

昨日の頭痛はおさまってきて、私の心もなんだか少し晴れやかな気分だ。
ありがとう、お母さん。今日も会社いってきます!