NARON IN DAY〜母と娘のとある一日〜

第二話

弘美 家族のムードメーカーの次女(21歳)篇

高1の頃から5年付き合っている彼氏から突然の連絡。

――他に好きな人が出来たから別れてほしい。――

最近会おうともしてくれなかったのは、そういうことだったんだ。
彼氏との楽しかったことばかりが思い出され、その日、私は一晩中泣き続けた。

翌朝目が覚めると、なんだか頭がズキズキする。目もむくんでるし、サイアクすぎ…。

こんな顔じゃ泣いたってお母さんにバレバレだよなぁ。
ちょっとうつむき気味でリビングに降りると、お母さんはいつもの調子で朝食を作ってくれていた。

温かい味噌汁をすすると気持ちが落ち着いて自然と言葉がこぼれ出てきた。

「お母さん、私、彼氏にフラれちゃった・・」

するとお母さんは黙って私の頭を抱きしめてくれた。
もう枯れたと思っていた涙と一緒に言葉があふれてくる。

「なんかさー、こんな思いするくらいなら出会わなければよかったよね…」
「それは、つらかったわね…」

うんうん、とお母さんは静かに私の話を聞いてくれた。

「…お母さんはフられたこととかある?」

「もちろんあるわよ。でもそれがあったから、お父さんって素敵な人と結婚できて、こうやって弘美たちと一緒にいれるのよね、
だから、今となっては感謝してるくらいね」

「そういうものなのかなー」

寝不足と号泣が相まって頭痛がひびく…。

するとお母さんは、ナロンエースをそっと渡してくれた。

「そういうものよ。別れはつらいけれど、その分出会いがあるもの。
弘美を大切にしてくれる人と必ず出会えるわ。」

お母さんは何でもお見通しなんだな。

「ありがとう…」
私はお母さんからもらったナロンエースを両手で握りしめた。