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運動パフォーマンスを高めるための準備、コンディショニングとは何か

近年では様々な競技スポーツにおいて、技術的なトレーニングのみならず日々のコンディショニングを実践する重要性が高まっています1)。

アスリートにとってはパフォーマンスを向上するうえで基礎的な体力と専門的な動作能力に関する積み重なるトレーニングが必要不可欠ですが、一方ではこのようなトレーニングは慢性的な疲労の蓄積を招き、さらには傷害を発生させるリスクを高める恐れがあります。

これらのネガティブなマイナス要素を最小限にしながら最高級のパフォーマンスを発揮するために、特にコンディショニングは重要な鍵となります。

今回は、運動パフォーマンスを高めるための準備であるコンディショニングについて解説していきます。

<監修>
甲斐沼孟
国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科。
救急診療のみならず、消化器外科や心臓血管外科、総合診療領域に精通しており、学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行う。

コンディショニングとは

コンディショニングとは、一言で言うと「競技などで自身が持てる最大限のパフォーマンスを発揮するために肉体や精神の状態を良好に高めること」を指します。

そして同時に公益財団法人日本オリンピック委員会も、コンディショニングすることは目標に掲げている試合などの舞台で最高のパフォーマンスを示すために日々のトレーニングを健康的で優良な状態で継続できるようにする活動であると述べています。

同様に厚生労働省は、コンディショニングのことを「運動競技において最高の能力を発揮出来るように精神面・肉体面・健康面などから状態を整えること」と定義しています。

コンディションとは、主に「体力」、「精神」、「技術」、「医療」、「栄養」、「環境」などの多種多様な要因から少なからず影響を受けており、実際にコンディショニングする時にはこれらの総合的な要素からアプローチして自分の状態をコントロールしていくことが重要です。

コンディショニングを裏付ける要素

運動後や日常生活における疲労回復の促進、そして日々のコンディションの改善を目的とした方策として代表的な例は、トレーニングや競技後に実施するクライオセラピー(身体冷却法)やマッサージ、適切な栄養補給や快適な睡眠などが挙げられます3)。

スポーツの世界で重要であることは言うまでもありませんが、一般的な日常生活においても重要な役割を持っているコンディショニングは、国や厚生労働省でもその実施を推奨しております。

そして、コンディショニングに関係する各要因が様々な要素によって裏付けされています。それぞれの要素を具体的に見ていきます。

1つ目:体力面
これは筋力トレーニングや柔軟性トレーニングなどが代表格です。ケガを負うリスクをできるだけ回避するためにも、体力面によるコンディショニングは必須のプロセスと考えられます。

厚生労働省の運動器機能に関与するマニュアルによればコンディショニング期間の運動は、かなり楽なレベルから比較的楽と感じる低負荷の運動強度を提唱しており、およそ20~30回の高反復運動を主な目安に設定されています。

2つ目:精神面
これにはストレスケアやメンタルトレーニングなどが挙げられます。日常的なトレーニングで鍛え上げた強靭な精神力も、厳しいトレーニングが続けばどうしても疲労します。

ですから、実際に試合本番で本来の実力をいかんなく発揮するためには、心身ともに活力を養っておくことが重要となります。具体的には、日常のルーティン作業を確立させる、あるいはリフレッシュや休養に充てる時間を確保するなどが有効的です。

また、日々の練習日誌を記録しておき、これまでの取り組みを定期的に確認することも心の回復に有用でしょうし、過去に積み上げてきた戦術的なポイントを整理して、本番でのイメージを鮮明化するなどの方法も考えられます。

3つ目:技術面
バイオメカニクス(動作解析)などを含め技術面についてです。アスリートの運動パフォーマンスを少しでも上げるために効果的なトレーニングメニューを作成する、そして動作解析を中心とした試合前後の技術面によるコンディショニングを行うことは重要な観点です。

4つ目:医療面
例としてはスポーツ医学やリハビリテーションなどが挙げられます。例えば、男女で異なるケアマネジメントが求められる代表的なスポーツ障害には疲労骨折や膝前十字靭帯損傷、そして脳しんとうなどが挙げられます。

いずれの運動外傷も選手、あるいはサポートするコーチの障害発生リスクファクターに対する認識度やケアマネジメントの実践能力が競技力向上に直結して繋がりますので、スポーツを取り巻く障害などを未然に防ぐ観点も視野に入れておくことが肝要です4)。

5つ目:栄養面
スポーツ栄養学もその範疇に入ります。白米やパン、もち、うどんなどの主食に豊富に含まれる糖質は、運動中の主なエネルギー源になりますのでしっかりと摂取するように心がけましょう。

また、肉、魚、豆腐、卵などの主菜はたんぱく質を多く含み、たんぱく質そのものは筋肉や骨、血液などの身体を構成する大切な主材料ですので毎食積極的に摂るようにしましょう。

その他、野菜、きのこ、いもなどの副菜はビタミンやミネラル、食物繊維を多く含み、牛乳やヨーグルトなどの乳製品にはカルシウムやたんぱく質、ビタミンB2が含まれていますのでアスリートにとってもお勧めです。

また、果物には適度な水分と糖質、ビタミンCが含まれており、抗ストレス作用を有しており、コラーゲンの生成などにも重要な役割を果たしますので、なるべく摂取するように意識しましょう。

6つ目:環境面
最後に、運動生理学などの環境面でのコンディショニングも重要です。

仰向けや座位でのストレッチングや、四つ這い・膝立ち姿勢でのバランス運動によるウォーミングアップ、そしてリラックスした状態でのクールダウンなどの運動生理を考慮した環境整備に努めたいところです。

まとめると、規則正しい生活習慣を送ることが最良のコンディショニングといえます。

ところが、どうしても実現できないときには、これまでに獲得した経験則や運動科学論によってどのようにカバーしていくのかを追求していく知恵や参考情報そのものがコンディショニングの要であると言えるでしょう。

様々な要因にアプローチするコツ

繰り返しになりますが、コンディショニングでは柔軟性を促すストレッチ運動や筋力を鍛えるための筋力トレーニングを単純に行うだけではなく、あらゆる面からの総合的なアプローチによるセルフコントロールが必要です。

コンディショニングは心身を良い状態に整えることです。

様々な構成要因に上手にアプローチする方法としては、体調が悪い、あるいは疲労がたまっているなど自分で感じる主観的評価のみならず、食事記録や日々の体重、そして体温や安静時心拍数、熟眠度など色々な客観的指標を適切に活用することをお勧めします。

なぜならば、普段から記録をつけていると自分の体調がどのようなことに影響されやすいかを把握しやすくなり、どのような契機で回復するのか、また逆に調子が悪くなるのかなど一定の傾向が判明して、自分の状態を調整しやすくなるからです。

このように、自分のコンディショニングをマイペースに色んな角度や指標から評価して調整し、さらには習慣化して反復して続けていくことが重要なのです。

まとめ

コンディショニングとは、スポーツなどにおけるパフォーマンスを最大級に高めるために自分の心身のコンディションを整えることを意味します。

コンディショニングは、スポーツの勝敗や成績を左右するほかにも、通常の健康度やダイエットを目的とした運動スタイルの効果にも数々の影響を与える可能性を秘めている重要なプロセスと言えます。

アスリート以外の一般の人でも日常的に適切な指導のもとでより安全に、より確実にコンディショニングの効果が受けられるように行動しましょう。

【参考文献】
1) 原 賢二:勝つためのコンディショニング~アスレティックトレーナーの立場から~. 日本整形外科スポーツ医学会雑誌. 2020 年 40 巻 3 号 p. 240-244.
DOI  https://doi.org/10.34473/jossm.40.3_240
2) 赤間 高雄:コンディショニングにおける運動免疫の活用. 体力科学. 2018 年 67 巻 1 号 p. 52.
DOI  https://doi.org/10.7600/jspfsm.67.52
3) 後藤 一成, 松生 香里:アスリートを支えるリカバリー&コンディショニング法の最新戦略. 体力科学. 2021 年 70 巻 1 号 p. 65.
DOI https://doi.org/10.7600/jspfsm.70.65_1
4)Iverson GL , Gardner AJ, Terry DP, Ponsford JL, Sills AK, Broshek DK, Solomon GS. Predictors of clinical recovery from concussion: A systematic review. Br J Sports Med 51: 941–948, 2017.
DOI 10.1136/bjsports-2017-097729.

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