アイススラリーとは?運動する人におすすめの熱中症対策

アイススラリーとは?運動する人におすすめの熱中症対策

運動する方にすすめたい、アイススラリーとは? 効率よく体を冷やして熱中症対策をしましょう 運動する方にすすめたい、アイススラリーとは? 効率よく体を冷やして熱中症対策をしましょう

夏期は猛暑日になることも多く見受けられて、特に熱中症が頻繁に発生する季節です。過酷な暑熱環境のもとでは、持久的な運動パフォーマンスは一般的に低下します。

そして、劣悪な暑熱環境がスポーツにおける活動パフォーマンスに与える度合いは、暑さへの馴れや水分補給の程度、あるいは身体冷却の有無や身に付けている服装などによって異なり変化します。

今回は、特に普段からよく運動する方にすすめたいアイススラリーについて説明し、また効率よく体を冷やして熱中症に対応する方策についても同時に解説していきます。

<監修>
甲斐沼孟
国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科。
救急診療のみならず、消化器外科や心臓血管外科、総合診療領域に精通しており、学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行う。

夏期は猛暑日になることも多く見受けられて、特に熱中症が頻繁に発生する季節です。過酷な暑熱環境のもとでは、持久的な運動パフォーマンスは一般的に低下します。

そして、劣悪な暑熱環境がスポーツにおける活動パフォーマンスに与える度合いは、暑さへの馴れや水分補給の程度、あるいは身体冷却の有無や身に付けている服装などによって異なり変化します。

今回は、特に普段からよく運動する方にすすめたいアイススラリーについて説明し、また効率よく体を冷やして熱中症に対応する方策についても同時に解説していきます。

<監修>
甲斐沼孟
国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科。
救急診療のみならず、消化器外科や心臓血管外科、総合診療領域に精通しており、学会発表や論文執筆等の学術活動も積極的に行う。

運動効率と深部体温の関係について

運動効率と深部体温の関係について

まず、深部体温というのは「体の内部の温度」のことを指します。通常では、直腸や鼓膜の温度で測定したうえで評価しており、個人差もありますが概ね36.5度から37.5度ぐらいで上下しています。

一般的に深部体温は、日中では朝から夕方に向けて高くなる傾向があり、逆に夜から早朝にかけて下がっていくという一定のリズムがあります。

さて、運動する時には生理的に適度な範囲で体温を上昇させることによって、運動能力や効率を高めようとしますが、仮に暑い環境のもとで過度に深部体温が上昇すると、持久性運動のパフォーマンスは低下することが示唆されています。

通常、暑い環境下では汗をかくことにより熱成分が体から逃れる熱放散能が低下し、さらには十分な水分補給ができにくくなるために、体温調節に作用せずに体の水分が奪われる形で汗が出るようになります。これを無効発汗と呼びます。

それゆえに、脱水の状態が悪化し、運動のパフォーマンス効率が低下するのです。また並行して、特に長時間の運動時には水分摂取するなどの判断能力が低下することで、深部体温が適温を超えて上昇し全般的にパフォーマンスが落ちる流れになります。

まず、深部体温というのは「体の内部の温度」のことを指します。通常では、直腸や鼓膜の温度で測定したうえで評価しており、個人差もありますが概ね36.5度から37.5度ぐらいで上下しています。

一般的に深部体温は、日中では朝から夕方に向けて高くなる傾向があり、逆に夜から早朝にかけて下がっていくという一定のリズムがあります。

さて、運動する時には生理的に適度な範囲で体温を上昇させることによって、運動能力や効率を高めようとしますが、仮に暑い環境のもとで過度に深部体温が上昇すると、持久性運動のパフォーマンスは低下することが示唆されています。

通常、暑い環境下では汗をかくことにより熱成分が体から逃れる熱放散能が低下し、さらには十分な水分補給ができにくくなるために、体温調節に作用せずに体の水分が奪われる形で汗が出るようになります。これを無効発汗と呼びます。

それゆえに、脱水の状態が悪化し、運動のパフォーマンス効率が低下するのです。また並行して、特に長時間の運動時には水分摂取するなどの判断能力が低下することで、深部体温が適温を超えて上昇し全般的にパフォーマンスが落ちる流れになります。

深部体温を効率良く下げるアイススラリーとは

深部体温を効率良く下げるアイススラリーとは

人間の体は暑さを感じると自然と汗をかいて体の皮膚表面の温度を下げようとします。

ところが、この汗での調節がうまくいかないと熱が体内にこもってしまい、その結果深部体温が上昇することに繋がります。

ですから、暑さを感じた際には、水分や塩分を適切に補給して脱水症状を防ぐことを意識するのみならず、深部体温を下げることを積極的に心がける必要があります。

そこで注目されているのが、体の内部から効率的に冷やすことが出来る微細なシャーベット状の飲料である「アイススラリー」です。

アイススラリーとは、細かい氷の粒子が液体に分散した状態の飲料であり、通常の氷よりも結晶が小さく流動性が高いことから体の内部を効率よく短時間で冷却できると言われています。

これまでも、氷そのものは溶ける際に体内の熱を吸収し、深部体温の上昇を抑えるのに効果があることが知られていました。

微細な氷と液体を混合させて作られているアイススラリーは固形の通常の氷よりも飲み込みやすく、氷点下で約1度と液体よりも温度が低く、体の中心部から効率的にアイシングする方法として、2010年頃に海外で提唱され始めました。

スポーツ科学で用いられている暑熱環境下での活動時の身体冷却方法を検証した以前の研究においては、高温・高湿環境においてアイススラリーを摂取することで運動による深部体温の上昇に対する有意な抑制効果が認められたことが報告されました1)。

人間の体は暑さを感じると自然と汗をかいて体の皮膚表面の温度を下げようとします。

ところが、この汗での調節がうまくいかないと熱が体内にこもってしまい、その結果深部体温が上昇することに繋がります。

ですから、暑さを感じた際には、水分や塩分を適切に補給して脱水症状を防ぐことを意識するのみならず、深部体温を下げることを積極的に心がける必要があります。

そこで注目されているのが、体の内部から効率的に冷やすことが出来る微細なシャーベット状の飲料である「アイススラリー」です。

アイススラリーとは、細かい氷の粒子が液体に分散した状態の飲料であり、通常の氷よりも結晶が小さく流動性が高いことから体の内部を効率よく短時間で冷却できると言われています。

これまでも、氷そのものは溶ける際に体内の熱を吸収し、深部体温の上昇を抑えるのに効果があることが知られていました。

微細な氷と液体を混合させて作られているアイススラリーは固形の通常の氷よりも飲み込みやすく、氷点下で約1度と液体よりも温度が低く、体の中心部から効率的にアイシングする方法として、2010年頃に海外で提唱され始めました。

スポーツ科学で用いられている暑熱環境下での活動時の身体冷却方法を検証した以前の研究においては、高温・高湿環境においてアイススラリーを摂取することで運動による深部体温の上昇に対する有意な抑制効果が認められたことが報告されました1)。

深部体温を下げることは熱中症対策にも

深部体温を下げることは熱中症対策にも

深部体温を下げることは熱中症対策にも 深部体温を下げることは熱中症対策にも

熱中症については、従来では高温多湿環境下での労働や運動による活動で多く発生件数が報告されていました。

しかしながら、最近ではヒートアイランド現象や地球温暖化による影響により、一般環境においても熱ストレス源が増大して、日常生活レベルにおいても熱中症が起こりやすいことが指摘されています。

暑さ指数(湿球黒球温度:英語表記でWet Bulb Globe Temperature)は、1954年当時にアメリカで最初に提唱された、熱中症を未然に防ぐことを目的とした有名な指標であり2)、暑さ指数が高い場所ではアイススラリーは有効的とされています。

スポーツの現場だけでなく、日常的に長時間の外出や畑仕事など炎天下の屋外で過ごさなければならない場合にはアイススラリーを上手に活用して暑熱対策を講じたいですね。

環境省の熱中症マニュアルでも、深部体温で40℃を超えると危険な症状が現れることが問題視されており、アイススラリーを使用して深部体温を下げることは熱中症を防ぐ手段としても有効と考えられます。

このように、熱中症は正しい知識を身につけ、適切に対処することで防ぐことが可能です。

熱中症については、従来では高温多湿環境下での労働や運動による活動で多く発生件数が報告されていました。

しかしながら、最近ではヒートアイランド現象や地球温暖化による影響により、一般環境においても熱ストレス源が増大して、日常生活レベルにおいても熱中症が起こりやすいことが指摘されています。

暑さ指数(湿球黒球温度:英語表記でWet Bulb Globe Temperature)は、1954年当時にアメリカで最初に提唱された、熱中症を未然に防ぐことを目的とした有名な指標であり2)、暑さ指数が高い場所ではアイススラリーは有効的とされています。

スポーツの現場だけでなく、日常的に長時間の外出や畑仕事など炎天下の屋外で過ごさなければならない場合にはアイススラリーを上手に活用して暑熱対策を講じたいですね。

環境省の熱中症マニュアルでも、深部体温で40℃を超えると危険な症状が現れることが問題視されており、アイススラリーを使用して深部体温を下げることは熱中症を防ぐ手段としても有効と考えられます。

このように、熱中症は正しい知識を身につけ、適切に対処することで防ぐことが可能です。

アイススラリーの入手方法や携帯方法

アイススラリーの入手方法や携帯方法

アイススラリーは、通常コンビニエンスストアや薬局などで市販品を購入できます。

また、家庭レベルでも簡単に作ることが出来て、スポーツ飲料を凍らせたものと冷蔵で冷やしたものをおよそ3対1の割合で混合して、保冷効果の高い容器で保管して携帯すると良いでしょう。

さらには、糖度の高い飲料を基に作成すると粘度がより高まって、冷却効果も高まることが期待できます。

国立スポーツ科学センターが推奨することとして、1回のアイススラリーの摂取量は体重1キログラム当たりで約7グラム程度が適度とされていますが、実際には成人でも一度に100グラム前後が現実的な量であると考えられています。

運動前や休憩している最中などに少量ずつ数回に分けてこまめに摂取するのが適当とされており、逆に大量に一気に摂取してしまうと胃腸に負担をかけて深部体温も下がりすぎる結果となるので注意が必要です。

アイススラリーは、通常コンビニエンスストアや薬局などで市販品を購入できます。

また、家庭レベルでも簡単に作ることが出来て、スポーツ飲料を凍らせたものと冷蔵で冷やしたものをおよそ3対1の割合で混合して、保冷効果の高い容器で保管して携帯すると良いでしょう。

さらには、糖度の高い飲料を基に作成すると粘度がより高まって、冷却効果も高まることが期待できます。

国立スポーツ科学センターが推奨することとして、1回のアイススラリーの摂取量は体重1キログラム当たりで約7グラム程度が適度とされていますが、実際には成人でも一度に100グラム前後が現実的な量であると考えられています。

運動前や休憩している最中などに少量ずつ数回に分けてこまめに摂取するのが適当とされており、逆に大量に一気に摂取してしまうと胃腸に負担をかけて深部体温も下がりすぎる結果となるので注意が必要です。

まとめ

まとめ

近年では、運動前に一時的に深部体温をあらかじめ下げておくプレクーリングというコンセプトが提唱されており、その一つの方法として「アイススラリー」が用いられています。

そして、暑い環境下で活動する前に少し飲むだけで、あらかじめ深部体温を下げることができ、その後の体温上昇をも抑制する効果を有するアイススラリーは、熱中症対策の新しい選択肢としても日常生活の中における様々なシーンでの活用が一層期待されています。

熱中症予防には水分補給、そしてアイススラリーを摂取することで内部から有効的に体を冷却して、さらに外部から体温を下げるアイスパックなども上手く組み合わせて身体を適度に冷やすことが体力の回復や疲労の改善に繋がると考えております。

暑熱環境下で活動する方は、「飲める氷飲料」であるアイススラリーという新たな熱中症対策の選択肢をぜひ提唱します。

【参考文献】

1) 柳田信也:消防隊員の暑熱環境下におけるアイススラリー摂取による身体冷却効果. 総合危機管理. 2020 年 4 巻 p. 79-84.
DOI  https://doi.org/10.34402/simric.4.0_79
2) 佐藤健、中島みづき、安岡広志:一般向けのアイススラリーを用いた暑熱対策の検討. 人間‐生活環境系シンポジウム報告集.
DOI  https://doi.org/10.24538/jhesp.43.0_151

近年では、運動前に一時的に深部体温をあらかじめ下げておくプレクーリングというコンセプトが提唱されており、その一つの方法として「アイススラリー」が用いられています。

そして、暑い環境下で活動する前に少し飲むだけで、あらかじめ深部体温を下げることができ、その後の体温上昇をも抑制する効果を有するアイススラリーは、熱中症対策の新しい選択肢としても日常生活の中における様々なシーンでの活用が一層期待されています。

熱中症予防には水分補給、そしてアイススラリーを摂取することで内部から有効的に体を冷却して、さらに外部から体温を下げるアイスパックなども上手く組み合わせて身体を適度に冷やすことが体力の回復や疲労の改善に繋がると考えております。

暑熱環境下で活動する方は、「飲める氷飲料」であるアイススラリーという新たな熱中症対策の選択肢をぜひ提唱します。

【参考文献】

1) 柳田信也:消防隊員の暑熱環境下におけるアイススラリー摂取による身体冷却効果. 総合危機管理. 2020 年 4 巻 p. 79-84.
DOI  https://doi.org/10.34402/simric.4.0_79
2) 佐藤健、中島みづき、安岡広志:一般向けのアイススラリーを用いた暑熱対策の検討. 人間‐生活環境系シンポジウム報告集.
DOI  https://doi.org/10.24538/jhesp.43.0_151

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