30代でもなる可能性あり!? 五十肩ってどんなもの?


30代でもなる可能性あり!? 五十肩ってどんなもの? 30代でもなる可能性あり!? 五十肩ってどんなもの?

「五十肩」と聞くと、50歳以下の方はまだ関係がないと感じるかもしれません。
でも実は、幅広い年代に起こる可能性がある症状なのです。
通常の肩こりとは違う痛みである五十肩。その原因や、起こってしまったときの対処法をご紹介します。

<監修>

三井弘整形外科リウマチクリニック院長
三井弘(みついひろし)先生
 

1970年東京大学医学部を卒業。同整形外科入局。77年より三井記念病院勤務。84年「三井式頸椎手術器具」を開発。同整形外科医長を経て、02年より現職。専門分野は脊椎、関節(人工関節)。日本リウマチ学会評議員。脊椎専門誌「SPINE」論文審査委員。編著書は『よくわかる最新医学 ひざ・腰・肩の痛みの最新治療』(主婦の友社)など多数。

そもそも「五十肩」ってなに?


そもそも「五十肩」ってなに? そもそも「五十肩」ってなに?

「五十肩になっちゃって、肩が痛い……」という話は耳にしますが、そもそも五十肩とはどのような症状なのでしょうか。

五十肩の正式名称は、「肩関節周囲炎」といいます。50代に一番症状が起こりやすいのは事実ですが、その年代にしか発生しない痛みではなく、実は30〜60代にかけて幅広い年代の方に起こるリスクがあります。

通常の肩こりの主な原因となるのは筋肉疲労ですが、五十肩はそれとは違い、肩関節周囲の炎症による痛みが生じます。上腕骨・肩甲骨・鎖骨とその周辺の筋肉を結び、潤滑油をつくり出す関節包、滑液包などに炎症が起きるのです。

通常の肩こりは、首筋や肩甲骨周りにかけて痛みが起こります。しかし、五十肩の場合は、左右どちらかの肩から二の腕にかけて痛みが現れ、炎症が治れば痛みは和らぎますが、肩が上がりにくい状態が続きます。

通常の肩こりと五十肩との違いに迷ったら、上のような症状を参考にしてみてください。

五十肩になってしまったらどう動くのが正解?


五十肩になってしまったらどう動くのが正解? 五十肩になってしまったらどう動くのが正解?

肩から上腕部分に激しい痛みが起こる五十肩。

五十肩の痛みが起きているときは、
「腕を体の前面で上下させる」動きを心がけましょう。
このような動きであれば、上腕骨が肩関節周囲の炎症部分に当たらないため、動かしても痛みが発生しづらいのです。

控えたい動きとしては、
「腕を体の横で上下させる」こと。
上腕骨が肩関節周囲の炎症部分に当たり、痛みが強まってしまいます。

五十肩にならないための生活習慣


五十肩にならないための生活習慣 五十肩にならないための生活習慣

どうして五十肩が起きるのかははっきりしていませんが、肩関節の骨・筋肉などの老化や、肩の酷使が原因と考えられています。

五十肩の予防・改善に大切なことは、日頃からこまめに肩を動かすこと。通常、肩関節を動かすと、骨を滑らかに動かすための潤滑油(関節液)がつくられます。

しかし、関節を動かさない状態が続くと潤滑油が不足してしまい、骨を動かす際に摩擦が生じて、関節の周囲に炎症を起こしやすくなるのです。

デスクワークなどで、姿勢を固定しがちな人や、同じ動作を繰り返す仕事をしている人は要注意。意識的に肩・首を回す運動を日常に取り入れて、五十肩を防ぎましょう。

また、五十肩になってしまった場合は、激しい痛みが治まった後に、上で紹介した「痛みが起こらない肩の動かし方」を参考に、できるだけ普段通りに肩を動かしましょう。徐々に潤滑油(関節液)がつくられ、症状が和らぎます。

病院を受診するタイミングはこんな時


病院を受診するタイミングはこんな時 病院を受診するタイミングはこんな時

五十肩による痛みが治まらない場合には、我慢をせずに病院に行きましょう。痛みの背景に、治療が必要な原因疾患が隠れている可能性があります。さらに、自己診断で筋肉をもんだり動かしたりすると、症状を悪化させてしまうことも。痛みが長引く場合には、早めに受診して、きちんと治療しましょう。

しかし、五十肩の場合、どの病院を受診したらよいか困る方も多いかもしれません。まずは整形外科を受診し、それでも改善されない場合は、主治医と相談をして、様々な痛み治療を専門とするペインクリニックを受診するとよいでしょう。