乾燥肌

乾燥肌の原因と対策を、皮膚科医が解説

秋から冬にかけては乾燥肌が気になる季節。でも実は、「季節に関係なく、乾燥肌になる」という女性も多いようです。そこで、乾燥肌の原因と基本的な対策をおさらいしておきましょう。「いろいろな化粧品を試してみたけれど、改善しない」という方は必見です!

<監修>

日比野佐和子先生
日比野佐和子先生
医療法人康梓会Y‘sサイエンスクリニック広尾統括院長・大阪大学大学院 医学系研究科 臨床遺伝子治療学 特任准教授


ひびの・さわこ 医学博士。内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医。同志社大学アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学保健医療学部准教授、(財)ルイ・パストゥール医学研究センター基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍するとともに、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。プラセンタ療法を含む再生医療においてのパイオニアでもある。

目次

乾燥肌の原因とは?なぜ肌の保水力が低下してしまうの?

乾燥肌を気にする女性
乾燥肌の原因は、4つの「美肌成分」、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンの減少にあります。

乾燥肌とは単に肌の表面が乾いているだけではなく、肌の保水力、つまり肌内部の水分を保つ力が落ちている状態を指します。肌の乾燥を感じるタイミングや肌に現れる症状には個人差がありますが、一般的に赤ちゃんの肌の内部に含まれる水分量を100とすると、30代の肌の水分量はその半分程度。しかもそこから、年々肌の水分量は低下の一途をたどるという残酷な現実があります。

実は、赤ちゃんのようなみすみずしい肌を保つには、肌がセラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンでたっぷりと満たされている必要があります。


●みずみずしい肌を保つ4つの「美肌成分」
みずみずしい肌を保つ4つの「美肌成分」
加齢を伴う美容成分量の変化
・セラミド
肌の表皮の角質層を埋める角質細胞間脂質の主成分。水分と油分を肌にとじこめ、外部の刺激から肌を守ってくれます。

・ヒアルロン酸
糖の一種で多くの水分を蓄える性質を持つ、アミノ酸と糖から作られるムコ多糖類の一種。表皮の下の真皮と呼ばれる部分で、細胞と細胞のすき間を埋めてクッションのように細胞を守る役割を果たします。

・コラーゲン
タンパク質の一種。真皮の70%を占めており、水分を抱えこむことで、肌の弾力のもととなります。

・エラスチン
皮膚や血管の中に存在するタンパク質の一種。ゴムのように伸縮性があり、コラーゲンの組織を束ねてつなぎとめることで、肌にハリをもたらします。


ところが、これらの美肌成分(セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン)は加齢とともに減少してしまいます。

コラーゲンは25歳頃、ヒアルロン酸は20代後半をピークに下降線をたどり、40歳頃でピーク時の約半分に。またエラスチンは20代後半から大きなカーブを描いて減り始めます。

加齢とともに美肌成分が減ることで肌の保水力が落ち、さらに20代以降は皮脂の分泌量も減るため、肌がますます乾燥しやすくなってしまうのです。
つまり、乾燥肌の原因となる美肌成分の減少は、加齢が原因ともいうことができます。
また、ターンオーバー(肌の新陳代謝)の乱れが乾燥肌の原因となることもあります。

食生活、ストレス、睡眠不足、血行不良、リンパの滞り、肌のバリア機能の低下などによって、ターンオーバーのリズムが乱れ、肌の保水力が落ちてしまうのです。

乾燥肌になるとどんな症状が出るの?

乾燥肌になると、どのような症状が起こるのでしょうか?

肌のハリや弾力がなくなるだけではありません。乾燥によって顔全体がかさついたり、かゆみや赤みなどの炎症を起こすこともあります。さらに粉ふき、ひび割れなどのトラブルや、乾燥により皮脂が過剰に分泌され、ニキビに悩まされることも。

また目元や口元に小じわができる、毛穴が目立つようになるなども乾燥肌の症状のひとつ。真皮層のエラスチンやコラーゲンの減少で肌にハリと弾力がなくなったことに起因しているのです。

では、乾燥肌を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。乾燥肌対策にはスキンケアが基本。スキンケアでは「洗う」「補う」方法の見直しをすることに加え、そのほかにも「ライフスタイル」の見直しも必要かもしれません。それぞれの乾燥肌対策を解説します。

乾燥肌対策① 「洗い方」

乾燥対策をする女性
メイク落としや洗顔の仕方を間違うと、ますます乾燥肌に。クレンジング剤や洗顔料は、なるべく「刺激が少ない製品」を選びましょう。製品選びの手がかりは成分表示。界面活性剤や防腐剤が無添加のものを選びましょう。

●界面活性剤とは?
水と油を融合させる成分で、メイクのような油性の汚れを洗い流しやすくする作用があります。多くのクレンジング剤や洗顔料に使用されていますが、肌に残ると肌の水分や油分を奪ってしまう一面も。


●防腐剤とは?
雑菌やカビの繁殖を防ぐために配合される成分ですが、肌のうるおいを守ってくれる「美肌菌」(表皮ブドウ球菌など)まで破壊してしまうため、乾燥肌や肌荒れの原因となります。化粧品の成分としては、メチルパラベン、エチルパラベン、エデト酸塩などと表示されています。なるべく「保存料不使用」、「保存料フリー」と表示のあるものを選びましょう。


●クレンジング剤を選ぶポイント
クレンジング剤は洗い流すものを選びましょう。
クレンジングシートやコールドクリームなどの洗い流さない製品は、肌に残ると雑菌繁殖の原因になることがあります。また洗い流すクレンジング剤の中でも、乾燥肌の人には刺激が強いオイルタイプより、ミルクタイプや泡タイプがおすすめ

クレンジング剤をメイクと馴染ませたら、36~38℃のぬるま湯で洗い流し、さらに刺激の少ない洗顔料をたっぷりと泡立て、肌の上で泡を転がすようにしてダブル洗顔します。熱いお湯を使ったり、肌をごしごしこすったりすると、肌のバリア機能が壊れ、肌の潤いが損なわれますから気を付けて。

乾燥肌対策②「補い方」

保湿をする女性
洗顔後は一気に肌が乾燥しますので、すぐに水分と油分を補給しましょう。

化粧水や美容液は、先ほど紹介した美肌成分(セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン)が配合されているものはおすすめです。特に乾燥肌の方には水分の蒸発を防いでくれるセラミドが重要な役割を果たします。

気をつけたいのは、化粧水で水分を補った後に乳液やクリームなどの油分で蓋をしなければ、かえって肌が乾燥してしまうということ。化粧水をバシャバシャつけたり、シートパックを長時間つけたりすると、一瞬はたっぷり潤うような気がしますが、水分はすぐに蒸散してしまい、同時に肌に必要な皮脂成分が流れ出てしまいます。化粧水をつけたらすぐに乳液やクリームなどを重ねてつけ、潤いを肌に閉じ込めましょう。

乾燥肌対策③「ライフスタイル」

乾燥肌対策の加湿器
乾燥肌に潤いを取り戻すため、以下のことを見直してみましょう。
●室内の湿度は60~65%に
空気の乾燥は肌の乾燥に直結しますので、室内の湿度はこまめにチェックを。
インフルエンザウイルスは湿度50%以下、カビは湿度65%以上の環境で繁殖しやすいため、湿度60~65%は肌にも健康にも最適な環境と言えます。加湿器がない場合は、部屋に水を入れたコップや観葉植物を置く、洗濯物を部屋に干すなどの方法で湿度を上げることもできます。


●食生活を見直し、腸内環境を整える
腸の中の善玉菌が増えれば便秘や体調不良が防げ、肌のターンオーバーも整います。
善玉菌を増やす方法はたくさんありますが、例えば納豆、味噌、ヨーグルトなどの善玉菌である乳酸菌を多く含む発酵食品と、海藻やゴボウ、さつまいも、こんにゃく、きのこなど善玉菌のエサとなる食物繊維を多く含む食品を一緒に食べても効果が得られます。忙しいときは美肌ケアができるサプリやドリンクを利用しましょう。


●軽い運動を取り入れる
運動により血行やリンパの流れが良くなると、全身に栄養が行き渡り、体内の老廃物が排出されます。また身体を動かすことでストレスが軽減され、睡眠の質も上がるため肌の調子も良くなります。ヨガやストレッチなどの軽い運動を習慣にしましょう。


●良質な睡眠が大事
眠りについてから90分以内にノンレム睡眠、つまり深い眠りに入ることができれば、成長ホルモンの分泌が活発になり、脳も体もしっかりと休めます。逆に入眠後に浅い眠りが続くと筋肉の緊張や血管収縮につながり、胃腸の働きの低下、血行不良、皮脂の過剰分泌をひきおこします。
眠る前にはスマホやPCを閉じてブルーライトを浴びないようにしましょう。身体を締め付けない衣類を選んだり、枕の高さを見直したりすることも、深い眠りにつながります。睡眠時間をじゅうぶんに取れない場合でも、良質な睡眠をとることが重要です。

まとめ

乾燥肌の原因である加齢は止められませんが、美肌成分(セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン)を外側と内側から補い、肌によいライフスタイルを取り入れることによってインナーケアをすることで、潤いのある肌を保つことも可能です。美肌習慣を続けて、乾燥知らずの肌へ導きましょう。