スギ花粉症の症状と対策

春先に頻発する鼻みずやくしゃみ、風邪なのかスギ花粉症なのか迷うことがあります。
けれど、スギ花粉症の特徴を知っていると効果的な対策ができます。

スギ花粉症の症状

スギ花粉症の代表的な症状は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりや目の症状です。
くしゃみは、花粉が鼻の中に入ってすぐに何回も続けて出ますが、鼻づまりは、花粉が鼻の中に入ってしばらくたってから出現します。花粉症の鼻みずは、水のようにさらっとしているのが特徴です。目のかゆみ、充血、涙など、目の症状が出る人もいます。
これらのほかに、痰のからまない乾いた咳、のどのかゆみやいがらっぽさ、頭痛などがみられることもあります。ただし、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりは、風邪でもみられる症状なので、花粉症? それとも風邪?と迷いがちですが、鼻みずの状態やくしゃみの出かた、症状が現れる時間帯などで見分けることができます。

  アレルギー性鼻炎 風邪
鼻みずの状態 水のようにさらっとして透明。 黄色っぽくねばりがあることがある。
くしゃみの
出かた
花粉やハウスダストなどアレルギーの原因となるものが鼻の中に入るとすぐに連続して出る。 冷たい空気を吸い込んだときなどに1回から数回でる。
症状が強く
なる時間帯
花粉症は朝方、花粉が多く飛ぶ昼頃と夕方。 一日中同じ程度の症状がある。
症状が
続く期間
花粉症は2週間以上、花粉の飛散時期に起こる。 数日間。
くしゃみ、
鼻みず、
鼻づまり
以外の症状
アレルギー性結膜炎のために目のかゆみなどが出ることがある。せきやのどがイガイガするといった咽喉頭異常、頭痛や倦怠感などがでることがありますが、発熱することはない。 のどの痛み、せき、痰など、悪寒や発熱。

花粉症の症状を悪化させるPM2.5

最近、天気予報などで耳にするPM2.5、この正体はいったい何なのでしょうか。PM2.5とは、空気中に浮遊している2.5μm(1μmは1㎜の1000分の1)以下の小さな粒子のことをいいます。2.5μmというのは、毛髪の太さの30分の1程度のサイズです。PM2.5はスギ花粉(30〜40μm)よりも粒子が小さく、気管支や肺の奥まで入り込みやすいため、喘息のような症状が出ることもあります。PM2.5は、工業施設から発生するばい煙や粉じん、自動車の排気ガスなどのほか、土壌や火山灰なども原因物質となります。

日本でPM2.5が増えるのは、おもに冬から春にかけて。春先には大陸から黄砂がやってきます。偏西風に乗って黄砂と一緒に飛んでくることが多いのです。花粉症のある人が、PM2.5を多く吸い込むと花粉症の症状が悪化したり、もともと喘息のある人は喘息の症状が出やすくなるとの報告もありますので、しっかりと対策をしましょう。

PM2.5の分布状況は、環境省の大気汚染物質広域監視システム「そらまめ君」のホームページでチェックできますし、また、日本気象協会のホームページでは、PM2.5分布予測を公開しています。また、多くの都道府県などのホームページでも、PM2.5をはじめとする大気汚染物質の状況(速報値)を公表しています。

花粉の飛散量だけではなく、PM2.5や黄砂の分布状況にも気を配りましょう。
PM2.5は、粒子が非常に小さいため窓を閉め切っていても入り込んできます。こまめな掃除や、高性能HEPAフィルター付き空気清浄機の使用で、できるだけ室内からPM2.5を排除し、PM2.5の濃度の高い日は長時間の屋外での運動などを避けるようにしましょう。

スギ花粉症の対策

スギ花粉症対策の基本は、スギの花粉を浴びない、体内に侵入させないことです。きちんと対策すれば、症状を軽くすることができます。
自分でできるスギ花粉症対策を紹介します。

外出するときの花粉症対策

花粉飛散状況をチェック

外出するときは花粉飛散状況をチェックし、飛散量が多い日はマスクだけではなく、帽子、花粉症用メガネなどでしっかりガード! 花粉の飛散量が多い時間帯の外出を極力控えましょう。 スギ花粉の場合は12時頃と17時頃が飛散のピークとなります。

マスクを付ける

自分の顔の大きさに合うマスクを選び、花粉が入り込まないように隙間なく装着します。

[立体型マスクの正しい付け方]

顔にフィットさせ、ノーズピースを鼻の形に合わせる

[プリーツ型マスクの正しい付け方]

1.プリーツを上下に伸ばし、マスクを広げる
2.顔に当ててノーズピースを鼻の形に合わせ、マスクをあごの下まで伸ばす
3.顔にフィットさせながら、耳にゴムひもをかける

プリーツ型マスクの正しい付け方

メガネを使用する

花粉の侵入を防ぐ「フード」がついた花粉症用メガネがベストですが、普通のメガネ(伊達メガネやサングラス)でも、花粉が目に入るのをある程度防ぐ効果があります。

つばの広い帽子をかぶる

髪の毛に花粉が付くのを防ぐことができます。

衣類への花粉の付着を防ぐ

花粉の付きにくいツルツルした素材のコートや上着を着る、衣服を洗濯するときは柔軟剤を使い、静電気の発生を抑えるなどの対策が効果的です。

帰宅したときの花粉症対策

衣類についた花粉をよくはらう

家の中に花粉を持ち込まないように、玄関先で花粉をはらい落としましょう。

帰宅後は洗顔とうがいをする

顔や口の中、のどについた花粉を帰宅後すぐに洗い流しましょう。できればシャワーを浴びると髪の毛に付着した花粉も洗い流すことができます。

洗顔で目の周辺を洗う

まつ毛や結膜など目の周囲に付いた花粉を洗い流すと、目のかゆみなどが軽減します。目の症状が強い方におすすめです。

鼻洗浄(鼻うがい)をする

鼻の粘膜に付いた花粉を洗い流すと、鼻炎症状が軽減します。アレルゲン除去作用だけではなく鼻粘膜の炎症を抑える効果があるとされ、花粉飛散早期より行うと、効果的だといわれています。

鼻洗浄の方法
  1. ①生理食塩水(0.9%の食塩水)を人肌程度の36~38℃くらいに温め、洗浄器に入れます
  2. ②洗浄器のノズルを鼻にあて、前かがみになって「エー」と声を出しながら洗浄します。洗浄後の液は、鼻や口から出てくるので、洗面台で行いましょう。

洗浄するときに強い圧をかけると、耳が痛くなることがありますので、ご注意ください。

室内における花粉症対策

こまめに掃除をする

室内に入り込んだ花粉を取り除くために、花粉のシーズンはとくに掃除をこまめに行いましょう。掃除機は排気循環式のものを利用すると、排気で花粉が舞うのを防げます。また、床の水拭きも効果的です。

空気清浄機を使用する

空気清浄機は、選び方、置き場所、使い方で効果に大きな差が出ます。
できれば高性能HEPAフィルター付きのものを選び、寝室の枕元に置いて、24時間稼働させましょう。こうすることで、部屋の空気中に漂う花粉を効率よく減らせます。

部屋の換気は夜から早朝までに行う

スギ花粉は夜明けとともに飛散開始します。スギ花粉の飛散量のピークは東京都心部で12時頃と17時頃なので、部屋の換気はその時間を避け、夜から早朝の間に行います。レースのカーテンは開けず、窓を10cmほど開けると、花粉の侵入を最低限にすることができます。

洗面所やトイレのマットをこまめに洗う

狭い場所で服を脱ぎ着する洗面所には意外と花粉がたまりやすく、隣接するトイレにも花粉が忍び込みます。これらの場所で使うマットには多くの花粉がくっついたままになっていることがあります。花粉のシーズンは毛足の短いトイレマットを使用し、頻繁に洗濯しましょう。

スギ花粉症は慢性疾患

毎年スギ花粉が飛ぶシーズンになると悩まされるスギ花粉症は、治療も経過も長期におよぶ慢性疾患です。スギ花粉が飛ばない時期に症状は出ませんが、アレルギー反応を起こす花粉の種類が増え、ヒノキやイネ、ススキやブタクサにまで反応するようになると、1年の大半を、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりに苦しめられることにもなりかねません。
きちんと対策と治療を行い、鼻や目、のどの粘膜の炎症を悪化させないことが、花粉症の悪化防止にもつながります。

教えてくれた先生

松脇 由典 先生
松脇 由典 先生
医療法人社団 恵芳会
松脇クリニック品川 院長
耳鼻咽喉科・アレルギー科医師
松脇クリニック品川
【略歴】
1994年3月
東京慈恵会医科大学 医学部 医学科卒業
1994年5月
東京慈恵会医科大学付属病院にて研修開始
2006年8月
東京慈恵会医科大学 耳鼻咽喉科講座 講師
医療法人社団恵芳会 松脇クリニック品川 
理事長
現在に至る
【学会】

日本耳鼻咽喉科学会・専門医/日本アレルギー学会・専門医/日本鼻科学会
耳鼻咽喉科臨床学会/耳鼻咽喉科短期滞在手術研究会/
品川気道アレルギー研究会・代表
アレルギー・好酸球研究会

【賞罰】
平成24年
日本鼻科学会 第19回学会賞
平成18年
米国アレルギー喘息免疫学会 
Featured presentation
平成17年
東京慈恵会医科大学 金杉賞